頻回成分献血の血液検査値に及ぼす影響について
【目的】日本赤十字社(日赤)が全国の血液センターで成分献血の実施を開始して以来, 10年の月日がたつ. この間, 熱心に献血に協力してくれた, いわゆる頻回献血者の数も相当数にのぼっている. 日赤特定研究班「献血者の安全確保」では, これら頻回献血者の身体の安全を確保するため, 頻回成分献血の献血者身体に及ぼす影響を再度検討した 【方法】対象:頻回成分献血者(ドナー群)は1年間に成分献血を6回以上行う者とし, 男女合計で511名であり, 追跡し得た限りで研究終了時には概ね4年以上の献血歴を有していた. 調査期間は平成6年4月から平成7年12月までとした. コントロール群は新規またはほとんど献血...
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Zusammenfassung: | 【目的】日本赤十字社(日赤)が全国の血液センターで成分献血の実施を開始して以来, 10年の月日がたつ. この間, 熱心に献血に協力してくれた, いわゆる頻回献血者の数も相当数にのぼっている. 日赤特定研究班「献血者の安全確保」では, これら頻回献血者の身体の安全を確保するため, 頻回成分献血の献血者身体に及ぼす影響を再度検討した 【方法】対象:頻回成分献血者(ドナー群)は1年間に成分献血を6回以上行う者とし, 男女合計で511名であり, 追跡し得た限りで研究終了時には概ね4年以上の献血歴を有していた. 調査期間は平成6年4月から平成7年12月までとした. コントロール群は新規またはほとんど献血歴のない400mlの全血献血者とし男女合計で500名であった. 検査項目:血液学的検査, 生化学的検査に加え免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM), 血清フェリチンとした. データ解析:(1)ドナー群について献血頻度を, 1年平均で6回~10回, 11回~15回, 16回~20回, 21回以上の4群に分け, 検査値をコントロール群と比較検討した(2)各ドナーに関して研究開始時の血液検査値を1.0として検査値を換算した後, 献血回数ごとに検査値の平均値, 標準偏差を算出し解析した. なお, 解析は男女別に行った. 【結果及び考察】(1)献血頻度別の解析では, 男女とも研究開始時及び終了時ともにドナー群においてコントロール群に比べ有意に低い血清フェリチン濃度を示し, さらに白血球数, リンパ球数の低下傾向が観察された. (2)献血回数別の解析では, 女性において献血回数の増加にともない血清フェリチン濃度が低下する傾向が認められた. 以上の結果より, 頻回の献血により血清フェリチン濃度が低下することが確認されたが, 大部分の献血者においてその値は正常値の範囲内にあった. 統計学的解析に関しては吉村功教授(東京理科大)の指導を得た. |
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ISSN: | 0546-1448 |