献血者におけるALT高値異常群の分析

【目的】輸血用血液の安全性を高めるために, 血液センターでは献血血液についてALTを測定し, 高値異常(≧60IU/リットル)の血液を排除している. 今回, ALTが170IU/リットル(一部100カルメン単位)以上を示した献血岩群の分析(各種ウイルスマーカー, 肥満度, 一部臨床所見)を行ったので報告する 【対象及び方法】1993. 7~1996. 8に当センターで献血し, ALT高値異常(≧170IU/リットル)を示した献血時ウイルスマーカー(HBV, HCV, HTLV-1, HIV)陰性の207名で, 男性185名及び女性22名の平均年齢は, それぞれ29.7±10.0及び28.4±1...

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Hauptverfasser: 金光公浩, 円満字豊, 大川力, 小西奎子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】輸血用血液の安全性を高めるために, 血液センターでは献血血液についてALTを測定し, 高値異常(≧60IU/リットル)の血液を排除している. 今回, ALTが170IU/リットル(一部100カルメン単位)以上を示した献血岩群の分析(各種ウイルスマーカー, 肥満度, 一部臨床所見)を行ったので報告する 【対象及び方法】1993. 7~1996. 8に当センターで献血し, ALT高値異常(≧170IU/リットル)を示した献血時ウイルスマーカー(HBV, HCV, HTLV-1, HIV)陰性の207名で, 男性185名及び女性22名の平均年齢は, それぞれ29.7±10.0及び28.4±10.7歳であった. 207名の保存検体について新たにHA-IgM(ダィナボット), CMV(PA法:富士レビオ;CMV-IgM:ヘキスト), パルボB19(RHA:福岡センター), HCV(第3世代:シスメックス)抗体を測定するとともに, 肥満度を算出した. また, そのうちの25名について臨床経過を追跡した. 【結果及び考察】期間中ALT高値異常(≧60IU/リットル)の出現率は, 約3%弱(7,056/243,506)でそのうちの約3%(207/7,056)が≧170IU/リットルであり, 男性185名(女性22名)の平均ALT値及び肥満度は, それぞれ190±137(180±72)IU/リットル及び26±20(18±15)%であった. 肥満度≧20%の比率は, 男性64%(118/185), 女性41%(9/22)で, ALT値高値異常人数は, 男性では肥満度に比例したが, 女性にその傾向は見られなかった. 各種ウイルスマーカーは, HA-IgM及びパルボB19抗体が全例陰性, CMV抗体がPA法で166例(80%)が陽性で, うち58例は高力価(≧1024)を示した. この高力価群のうち3例がCMV-IgM抗体陽性であった. HCV抗体陽性は3例あり, RNAの有無を検討中である. 臨床所見では, 25例中約半数が肥満による脂肪肝と診断された. 献血時ALT高値異常の最大の原因は肥満にあると思われるが, 一過性のALT高値異常と推測される33例(16%)のなかには原因不明の場合も多く, 慎重な対応が望まれる.
ISSN:0546-1448