非血縁者間臍帯血造血幹細胞移植を想定した細胞保存の現況

【目的】骨髄再構築のための造血幹細胞の源として臍帯血が期待されている. 小児の同胞間臍帯血移植の成功例と共に海外では非血縁者間の移植例も報告されている. 我々は非血縁者間移植に対応可能な細胞保存を目指して1995年4月より臍帯血の凍結保存を開始した. これまでの知見と問題点を示す. 【方法】日赤医療センター産婦人科及び愛育会病院産科の協力により, インフォームドコンセントを得られた正常分娩例の分娩第3期に採血した. 採血量または有核細胞数が充分なケースについて検査保存を行った. 赤血球除去はHES法で行い, 有核細胞は5%DMSO, 6%HES, 4%ヒトアルブミン中にて-80℃で凍結し液体窒...

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Hauptverfasser: 高梨美乃子, 岩井しのぶ, 井出武夫, 岡井幹, 上田賢弘, 赤座達也, 田所憲治, 十字猛夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】骨髄再構築のための造血幹細胞の源として臍帯血が期待されている. 小児の同胞間臍帯血移植の成功例と共に海外では非血縁者間の移植例も報告されている. 我々は非血縁者間移植に対応可能な細胞保存を目指して1995年4月より臍帯血の凍結保存を開始した. これまでの知見と問題点を示す. 【方法】日赤医療センター産婦人科及び愛育会病院産科の協力により, インフォームドコンセントを得られた正常分娩例の分娩第3期に採血した. 採血量または有核細胞数が充分なケースについて検査保存を行った. 赤血球除去はHES法で行い, 有核細胞は5%DMSO, 6%HES, 4%ヒトアルブミン中にて-80℃で凍結し液体窒素中に保存した. ABO/Rh血液型判定, 感染症マーカースクリーニング, HLAタイピング, 無菌試験, コロニー形成能, CD34^+ 測定等の各種検査を行い, 検査用検体も保存した. 1996年4月より, 同意が得られた場合の母体血感染症スクリーニングを開始した. 【結果】インフォームドコンセントは250名の母親から得られた. 採血量40ml以上の検体数は104検体であった. HLA判定済みの検体は本年8月までに123検体であるが, 細菌汚染, 破損, 双生児検体を除くと103検体となった. 1年間保存した検体については母親にアンケートを送付し, 全ての回答で児の健康を確認した. 【考察】HLA等の検査結果と共に幹細胞数などの算定された無記名の検体を蓄積しつつある. 採取・保存の効率は採血量, 細菌汚染率により影響される. 臨床側より問い合わせもあり, 今後は非血縁者間移植の症例の選択と実施が課題となる. 臍帯血バンクの保存検体数の目標は, 臍帯血移植の場合にHLA不一致をどの程度まで許容するかによる為, 移植症例の蓄積が必要と考えられる.
ISSN:0546-1448