非溶血性輸血副作用惹起患者の血中IgE値の測定
種々のアレルギー性反応におけるIgE抗体の役割については, 多くの報告があり明らかである一方, 非溶血性輸血副作用として報告される中で大きな割合を占めるアレルギー性副作用については, その症状は他のアレルギー性疾患と類似するものの原因となるIgE抗体が特定された例は極めて稀であるそこで, 演者らは輸血副作用の防止を目的として, まず副作用発生患者の素因について知る目的で血清総IgE値を測定し, さらに採血装置由来のアレルゲンに対する抗原特異IgE値を測定し, これらと副作用発生との関連について検討した. 日本赤十字社中央血液センターに報告された非溶血性輸血副作用症例346例を対象とした対照と...
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Zusammenfassung: | 種々のアレルギー性反応におけるIgE抗体の役割については, 多くの報告があり明らかである一方, 非溶血性輸血副作用として報告される中で大きな割合を占めるアレルギー性副作用については, その症状は他のアレルギー性疾患と類似するものの原因となるIgE抗体が特定された例は極めて稀であるそこで, 演者らは輸血副作用の防止を目的として, まず副作用発生患者の素因について知る目的で血清総IgE値を測定し, さらに採血装置由来のアレルゲンに対する抗原特異IgE値を測定し, これらと副作用発生との関連について検討した. 日本赤十字社中央血液センターに報告された非溶血性輸血副作用症例346例を対象とした対照としてランダムドナー73名も同時に測定した. 非特異IgEはELISA法で, 特異IgE(エチレンオキサイド, 無水フタル酸, ラテックス〕はFITC-CAP-RAST法で測定した非特異IgEは250IU/ml以上を, 特異IgEは0.34以上を異常値とた. 非溶血副作用発生患者(n=346)の血中総lgE値は244±334IU/mlと個人差が大きく, 250IU/ml以上の割合は30.0%であった. 対照群としたランダムドナー(n=73)の155±299(16.4%)と較べてやや高い値を示した. さらに, アナフィラキシーショク症例群(n=58)のみの比較では310±380IU/ml(44.8%)と異常値を示す患者の割合が明らかに高かった. また, 蕁麻疹症例群(n=107)でも284±314IU/ml(37.4%)と高い割合であった. これに対し, 発熱症例群(n=39)では144±211IU/ml(15.4%)と対照群と同等な結果が得られた. 抗原特異IgEは130症例について検討し, エチレンオキサイド2例(アナフィラキシーショック2症例), 無水フタル酸1例(アナフィラキシショック1症例), ラテックス9例(アナフィラキシショック6症例, 蕁麻疹1症例, ショック1症例, その他1症例)で検出された. アレルギー性副作用特にアナフィラキシーショックを起こした患者において, 高頻度に高値の血清総特異IgE値が検出されたことは, これが頻回輸血による感作の結果よるものか固有の素因であるか否かは不明であるが, 輸血副作用の発生と関連することが示唆された. 採血装置由来抗原特異IgEについては, 陽性となった例は稀であり, 広く原因なった可能性は低いと考えられた. しかし, 陽性例ではアナフィラキシーショック症例が大部分を占め, 血清総IgE値と同様に何らかの関連がある可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0546-1448 |