TTP・HUSの治療成績

【緒言】血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は, 破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 血小板減少性紫斑, 変動する精神神経症状, 発熱, 腎障害を呈する症候群で, 病理学的所見としては, 微少循環系の血小板血栓が多数認められる. 今回, 我々は, その病因, 合併症, 臨床経過, 治療法, 転帰等を検討し, 検索が可能であった症例については, 経日的に以下の項目につき検討した. 【対象症例・方法】TTP:95例(男性:42例, 女性:53例), HUS:32例(男性:13例, 女性:19例), 薬剤性(Drug):18例(男性:12例, 女性:6例)の145症例. TTP, HUS, Drug症例の平...

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Hauptverfasser: 和田英夫, 森美貴, 木村邦夫, 志村実乃里, 日代山桂津代, 長屋章三郎, 南信行, 珠玖洋
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【緒言】血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は, 破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 血小板減少性紫斑, 変動する精神神経症状, 発熱, 腎障害を呈する症候群で, 病理学的所見としては, 微少循環系の血小板血栓が多数認められる. 今回, 我々は, その病因, 合併症, 臨床経過, 治療法, 転帰等を検討し, 検索が可能であった症例については, 経日的に以下の項目につき検討した. 【対象症例・方法】TTP:95例(男性:42例, 女性:53例), HUS:32例(男性:13例, 女性:19例), 薬剤性(Drug):18例(男性:12例, 女性:6例)の145症例. TTP, HUS, Drug症例の平均年齢は43±18, 8±10, 58±12歳. von Willebrand factor multimer, platelet aggregating factor(PAF), 止血学的分子マーカー, 血管内皮細胞マーカー, サイトカインを測定した. 【臨床経過・結果】TTP症例は精神神経症状がほとんどの例でみられ, 合併症として, 膠原病, 妊娠等が多く見られた. HUS症例では腎障害が前面にたち, 下痢・腹痛が先行し, O-157感染の関与が疑われ, Drugはマイトマイシンによるものがほとんどを占めた. 多くのTTP症例は血漿交換療法が奏効したが, ステロイドのパルス治療を必要とした症例もみられた. HUS症例では, 抗血小板剤, 透析療法が中心におこなわれ, Drug症例は, 原因薬剤の中止のみで改善したものが多かった. 上記治療による死亡数は, TTP95例中23例, HUS32例中2例, Drug18例中3例であった. 多くのTTP症例で, PAIgGは高値を示し, vWF large multimerは低下をみた. 血管内皮細胞マーカーは高値を示し, CR時には有意に低下した. サイトカインは, 発症時異常高値を示し重症例ほど高く, 特に死亡例では著明に増加をみたが, 治療が奏効したものについては有意に低下した. 【考察】TTP症例には, 自己抗体陽性例が多く, 血管内皮細胞障害, 血小板活性化, 高サイトカイン血症がみられ, TTPの病態に自己免疫学的機序ならびにサイトカインの関与が疑われた.
ISSN:0546-1448