HPA-4b抗体による新生児血小板減少性紫斑病の1例

目的:母子間のHPAやHLAが不適合のため, 同種免疫による新生児血小板減少が起こることが知られている. 今回我々は, HPA-4b抗体によると考えられる新生児血小板減少性紫斑病(NAITP)の症例を経験したので報告する. 症例:O型Rh_0 (+)の輸血歴のない初回妊婦(27歳)から生まれたA型Rh_0 (+)の女児で, 在胎40週1日, 児頭降下不良で圧出・吸引分娩を施行, 胎児仮死を認めた. 生下時体重3,198g, Apgar score 8点であった. 出生時より顔面を除き四肢近位に多い全身の点状出血斑を認め, 第1生日の血小板数は24,000/μlと著明に減少していたためNICU入...

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Hauptverfasser: 日高琢二, 大川内雅洋, 北島均, 伊藤淳一, 佐藤東, 井口雄三, 真鍋寛司, 吉武国利, 池田一彦, 荒添悟, 藤原弘一, 野原正信, 坂本久浩
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:目的:母子間のHPAやHLAが不適合のため, 同種免疫による新生児血小板減少が起こることが知られている. 今回我々は, HPA-4b抗体によると考えられる新生児血小板減少性紫斑病(NAITP)の症例を経験したので報告する. 症例:O型Rh_0 (+)の輸血歴のない初回妊婦(27歳)から生まれたA型Rh_0 (+)の女児で, 在胎40週1日, 児頭降下不良で圧出・吸引分娩を施行, 胎児仮死を認めた. 生下時体重3,198g, Apgar score 8点であった. 出生時より顔面を除き四肢近位に多い全身の点状出血斑を認め, 第1生日の血小板数は24,000/μlと著明に減少していたためNICU入室, 止血剤を用いながらフォローした. 第2生目以降血小板数は増加し, 第8生日には278,000/μlに回復した. 骨髄標本に異常は認められず, また免疫学的機序以外の感症等による血小板減少症は考えられなかった. 免疫血液学的検査成績:(1)ABO, Rh式血液型母親;O型Rh_0 (+), 父親:AB型Rh_0 (+), 患児:A型Rh_0 (+) (2)HLA typing 母親のHLA抗体スクリーニングLCT法:22/22(-)AHG-LCT法:22/22(-) 母血清とのクロスマッチLCT法:父親リンパ球(-)患児リンパ球(-)対照リンパ球(+) AHG-LCT法:父親リンパ球(-)患児リンパ球(-)対照リンパ球(-) (3)HPA typing(MPHA法) 母血清のHPA抗体スクリーニングMPHA法:3/9(+), HPA-4bに特異性あり抗体価:1,024倍以上 母血清とのクロスマッチ 考察:以上の結果よりこの症例の血小板減少症の原因は, 患児の保有するHPA-4b抗原の同種免疫により産生されたHPA-4b抗体によるものと考えられた. 今回の症例のように, 母児間のHPA不適合による血小板減少は第1子目から起こりうる点で注意を要する. また近年, 本邦でも今回と同様の症例が数十例報告されている. 今後, 院内でのNAITPに対するチェック体制の確立と血液センターを含めた血小板抗体検査システムの強化が必要であると考える.
ISSN:0546-1448