献血者における不規則抗体の検出状況について
目的:患者及び供血者のもつ不規則抗体の存在は,いずれにおいても輸血に際してしばしば適合血液の確保を困難なものとする. 今回我々は,献血者から検出された不規則抗体について,年次別,地域別,年齢別,性別の検出率及び抗体の種類等について解析を行った. 方法:不規則抗体スクリーニングは,Di^a を含む主な抗原既知の自家製O型血球試薬を用い,生理食塩水法,ブロメリン法,及び間接抗グロブリン法によって行った. 結果:全国の血液センターで検出された過去10年間の不規則抗体の検出率は0.4%前後で大きな変動はなく,地域的片寄りも認められなかった. 平成5年4月~平成8年1月までの岡山センターの献血者305,...
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Zusammenfassung: | 目的:患者及び供血者のもつ不規則抗体の存在は,いずれにおいても輸血に際してしばしば適合血液の確保を困難なものとする. 今回我々は,献血者から検出された不規則抗体について,年次別,地域別,年齢別,性別の検出率及び抗体の種類等について解析を行った. 方法:不規則抗体スクリーニングは,Di^a を含む主な抗原既知の自家製O型血球試薬を用い,生理食塩水法,ブロメリン法,及び間接抗グロブリン法によって行った. 結果:全国の血液センターで検出された過去10年間の不規則抗体の検出率は0.4%前後で大きな変動はなく,地域的片寄りも認められなかった. 平成5年4月~平成8年1月までの岡山センターの献血者305,142名から検出された不規則抗体は881例(0.29%)あり,そのうち女性は597名(0.43%)で,男性284名(0.17%)の約2.5倍の検出率を示した. また,男性では年齢差はほとんどなかったが,女性では10代の約0.1%に対し,40代をピークに30代以上で約0.66%と有意に高値を示した. さらに,ブロメリン法,AGT法で検出された免疫抗体と思われるRh等の抗体は,女性が男性に比べて約1.7倍と有意に多かった. 結語:以上のことより,献血者の不規則抗体の多くは妊娠に起因するものであることが示唆された. 浮田等は分娩時における産婦の不規則抗体の検出率は2.67%であったと報告しており,これは献血者の約10倍に達する. これらの抗体が産生されると輸血に際して適合血が得られにくい場合があること,またHDNの危険性もあること等を考慮すると,輸血予定患者のみならず妊婦の抗体スクリーニングの重要性が改めて認識された. |
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ISSN: | 0546-1448 |