自己血輸血前後の患者のQOL

輸血後肝炎1)や輸血後移植片対宿主病2)などの重篤な同種血輸血副作用の予防が可能となり,同種血輸血の安全性が飛躍的に向上した今日,自己血輸血療法の従来の施行目的の変遷が余儀無くされている. すなわち,単に同種血輸血副作用の回避という点が強調されるならば,自己血輸血療法は患者にとって苦痛を伴う強制的医療行為となりかねない. 自己血はすべての患者が保有する貴重な自己資源であり,この唯一無二の自己資源を積極的に活用する医療の自給という意識が術者と患者の双方において発生し,高められてこそ患者に優しい自己血輸血療法の施行が可能となり,延いては患者のQOL(quality of life)の向上につながり...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1997, Vol.43(1), pp.55-61
Hauptverfasser: 新名主, 宏一, 東, 憲孝, 下野, 治子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:輸血後肝炎1)や輸血後移植片対宿主病2)などの重篤な同種血輸血副作用の予防が可能となり,同種血輸血の安全性が飛躍的に向上した今日,自己血輸血療法の従来の施行目的の変遷が余儀無くされている. すなわち,単に同種血輸血副作用の回避という点が強調されるならば,自己血輸血療法は患者にとって苦痛を伴う強制的医療行為となりかねない. 自己血はすべての患者が保有する貴重な自己資源であり,この唯一無二の自己資源を積極的に活用する医療の自給という意識が術者と患者の双方において発生し,高められてこそ患者に優しい自己血輸血療法の施行が可能となり,延いては患者のQOL(quality of life)の向上につながり,自然の医療として定着してゆくものと考えられる. 筆者らは1991年3月に鹿児島県内の有志とともに「鹿児島自己血輸血療法研究会」を発足させ,県内の自己血輸血療法の普及をはかってきたが,今日までの約6年間の経験のなかで見い出した自己血貯血患者のQOLの高揚につながる若干の工夫について紹介する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.43.55