輸血歴のない患者よりIgG型(抗E抗体)様の同種抗体を示したB cell malignant lymphomaの1症例

我々は輸血歴のないB細胞型悪性リンパ腫の男性患者で, 直接, 間接抗グロブリン試験が陽性で血清中に抗E特異性を示すIgGと思われる抗体を検出したので, 若干の考察と輸血を含めた臨床経過について報告する. 通常, IgG抗体は免疫抗体であり, 輸血, 妊娠等で抗原刺激を受け産生される. 大部分の抗E抗体は免疫抗体であるが, 稀に自然抗体のものがあり, 通常IgM抗体である. しかしDTT処理することにより, IgM抗体は失活化されるので, 本症例の場合はIgG抗体と考えてよい. また, 血漿分画製剤の使用も認められないことから製剤からの混入も否定でき, 同種抗体と思われた. 本症例は入院時IgG...

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Hauptverfasser: 渡辺隆幸, 大沢裕美, 作間靖子, 大河原千恵, 白石満, 渡辺雅子, 神林裕行, 佐久間秀夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は輸血歴のないB細胞型悪性リンパ腫の男性患者で, 直接, 間接抗グロブリン試験が陽性で血清中に抗E特異性を示すIgGと思われる抗体を検出したので, 若干の考察と輸血を含めた臨床経過について報告する. 通常, IgG抗体は免疫抗体であり, 輸血, 妊娠等で抗原刺激を受け産生される. 大部分の抗E抗体は免疫抗体であるが, 稀に自然抗体のものがあり, 通常IgM抗体である. しかしDTT処理することにより, IgM抗体は失活化されるので, 本症例の場合はIgG抗体と考えてよい. また, 血漿分画製剤の使用も認められないことから製剤からの混入も否定でき, 同種抗体と思われた. 本症例は入院時IgGが著増していたが, 化学療法により悪性リンパ腫の病変が消退するにしたがってIgGも正常化し, 抗E抗体も消失した. このことより腫瘍化したBリンパ球が何らかの原因で赤血球抗原に対して特異的に反応する抗体を産生したものと考えられた. 悪性リンパ腫の患者では抗グロブリン試験が陽性になることがあり, AIHAを合併することもあるので輸血に際しては注意が必要である.
ISSN:0546-1448