血液型不適合腎移植症例における正常同種凝集素価の測定について

血液型不適合腎移植症例において, 正常同種凝集素価を追跡する機会を得たので報告した. 対象:症例はO型陽性の10歳の女性であり, 平成7年7月3日, 生体腎移植のために当院泌尿器科に入院, 平成7年7月26日, A型陽性の母親からの生体腎移植を行った. 方法:正常同種凝集素価はIgM抗体を生理食塩水法により, IgG抗体は血清をDithiothreitol(DTT)或は2-mercaptoethanol(2-ME)により処理して, クームス法により測定した. 結果及び考察:正常同種凝集素価の測定開始時, IgMの抗A抗体価が64倍(IgG:512倍)あったが, 血漿交換により4倍(IgG:12...

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Hauptverfasser: 前田和宏, 村上幹子, 長岡登紀子, 松下恵子, 国分寺晃, 郡谷哲男, 谷脇清助, 甲斐俊朗, 原宏, 井原英有, 谷澤隆邦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血液型不適合腎移植症例において, 正常同種凝集素価を追跡する機会を得たので報告した. 対象:症例はO型陽性の10歳の女性であり, 平成7年7月3日, 生体腎移植のために当院泌尿器科に入院, 平成7年7月26日, A型陽性の母親からの生体腎移植を行った. 方法:正常同種凝集素価はIgM抗体を生理食塩水法により, IgG抗体は血清をDithiothreitol(DTT)或は2-mercaptoethanol(2-ME)により処理して, クームス法により測定した. 結果及び考察:正常同種凝集素価の測定開始時, IgMの抗A抗体価が64倍(IgG:512倍)あったが, 血漿交換により4倍(IgG:128倍)に低下したところで生体腎移植が行われた. 移植後, 腎臓は生着し, 抗A抗体価はIgM:1倍(IgG:8倍)からIgM:32倍(IgG:128)の範囲を変動し, 10月9日現在の正常同種凝集素価は, 抗A抗体価はIgM:8倍(IgG:8倍), 抗B抗体価はIgM:8倍(IgG:16倍)であった. IgGの正常同種凝集素価の測定では, 主としてDTTにより血清を処理した. DTTは無臭, 透析が不要であり, 検査を頻繁に行う場合には有用だと思われた.
ISSN:0546-1448