IDDM患者におけるHLA遺伝子のPCR-RFLP法による解析

インスリン依存型糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus, 以下IDDMと略す)の発症には自己免疫機序が大きく関与し, そのターゲットとなるのが膵β細胞である. ウイルス感染などの環境因子が加わり, マクロファージやヘルパーTリンパ球が誘導され, 膵β細胞上に提示された抗原を, 非自己として認識し, Tリンパ球が膵β細胞を攻撃する. このことにより膵β細胞の破壊がはじまり, 結果としてインシュリンの分泌機能異常が起こりIDDMが発症すると考えられている. マクロファージやヘルパーTリンパ球の誘導や, 免疫応答の開始には, HLAと膵β細胞上抗原との親和性の...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1995, Vol.41(3), pp.218-223
Hauptverfasser: 野村, 努, 池田, 和真, 加美, 長亜由, 宮武, 早織, 石田, 俊彦, 高原, 二郎, 河西, 浩一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:インスリン依存型糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus, 以下IDDMと略す)の発症には自己免疫機序が大きく関与し, そのターゲットとなるのが膵β細胞である. ウイルス感染などの環境因子が加わり, マクロファージやヘルパーTリンパ球が誘導され, 膵β細胞上に提示された抗原を, 非自己として認識し, Tリンパ球が膵β細胞を攻撃する. このことにより膵β細胞の破壊がはじまり, 結果としてインシュリンの分泌機能異常が起こりIDDMが発症すると考えられている. マクロファージやヘルパーTリンパ球の誘導や, 免疫応答の開始には, HLAと膵β細胞上抗原との親和性の強さや認識されやすさが関係すると推定され, 特定のHLAタイプとIDDM発症との関係が注目されてきた. HLAは第6染色体の短腕上に存在し, 構造と機能によってクラスIとクラスIIおよびクラスIIIに分類される. IDDMの発症に関連が深いとされているHLAのクラスII抗原は, DQ, DRおよびDPに分類され, 各α鎖とβ鎖により構成されている. α鎖とβ鎖の立体構造の多型性部位と膵β細胞上抗原との親和性により, 疾患感受性に影響を与えていると考えられており, 特定のHLAタイプとIDDMとの関連が追求されている.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.41.218