ヒトトロンビンの製造方法および性状
I. 目的:人及び動物血漿からトロンビンを調製する際の, プロトロンビンからトロンビンヘの転化方法として(1)Ca塩とトロンボプラスチン, (2)ヘビ毒, (3)高濃度クエン酸塩を用いる方法等が報告されている, また, Ca塩のみの添加によっても, (1), (2)の方法に比べて遅いものの転化することが知られている. 我々はCa塩添加による方法で高い収量を得る条件を見つける為に, 転化に及ぼすCa濃度, pH, 温度等の影響を調べた. また, 至適条件で転化したトロンビンを陽イオン交換体で精製し, 得られたヒトトロンビンの性状分析を行った. II. 材料:プロトロンビン;脱クリオ人血漿より陰イ...
Gespeichert in:
Hauptverfasser: | , , , , |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | I. 目的:人及び動物血漿からトロンビンを調製する際の, プロトロンビンからトロンビンヘの転化方法として(1)Ca塩とトロンボプラスチン, (2)ヘビ毒, (3)高濃度クエン酸塩を用いる方法等が報告されている, また, Ca塩のみの添加によっても, (1), (2)の方法に比べて遅いものの転化することが知られている. 我々はCa塩添加による方法で高い収量を得る条件を見つける為に, 転化に及ぼすCa濃度, pH, 温度等の影響を調べた. また, 至適条件で転化したトロンビンを陽イオン交換体で精製し, 得られたヒトトロンビンの性状分析を行った. II. 材料:プロトロンビン;脱クリオ人血漿より陰イオン交換体を用いて調製したPTC画分を用いた. III. 方法:安定剤としてグリシン等を添加したPTCに塩化カルシウム溶液を混合し, pHを調整後5℃及び15℃に保存し, 経時的にトロンビン力価を測定した. 生成されたトロンビンをSP-Sephadexを用いて精製し, 性状分析を行った. (1)トロンビン力価の測定;BBLフィブロメーターで凝固時間を測定することにより求めた. ヒト血漿をフィブリノゲン源として用いた. (2)性状;セルロースアセテート膜電気泳動, SDS-PAGEにより物理化学的性状を, トロンボエラストグラフィーによって血液凝固能を調べた. IV. 成績:(1)至適な転化条件は, Ca濃度18.6mM, pH7.0, 温度5℃であった. (2)ヒトトロンビンの性状は次のとおりであった. セルロースアセテート膜電気泳動ではβ位に1ピークを示した. SDS-PAGEではα-トロンビン(MW=37000)の位置に濃いバンドが検出された. トロンポエラストグラフィーではトロンビンの添加濃度に依存して, r値の短縮効果が認められた. V. 結び:Ca塩の存在下でPTCをトロンビンに転化することを試み, トロンボプラスチンを用いなくても高収量でヒトトロンビンが得られる条件を見いだした. 精製後のヒトトロンビンは高純度であった. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |