非溶血性輸血副作用と抗好中球抗体の検討

赤血球製剤および血小板輸血後に発熱, 蕁麻疹, 掻痒などの非溶血性輸血副作用を認めることが多い. これらの副作用と抗好中球抗体との関連性について検討した. 〔対象〕内科系の患者を主とした59症例, 133検体. 〔方法〕全症例で輸血前に血清を採取, 副作用を認めた症例は輸血後に経時的に採取した. 好中球結合性免疫グロブリン(NBIg)はフローサイトメトリー(FCM)にて測定した. 健常人好中球を1%PFAにて固定後5,000/μlに調整. 浮遊液50μlと10倍希釈血清50μlを37℃, 30分反応後洗浄し, FITC標識抗ヒトIgG・ヤギF(ab)_2 分画(TAGO)あるいは抗ヒトIgM抗...

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Hauptverfasser: 林悟, 清川知子, 青地寛, 永峰啓丞, 押田眞知子, 富山佳昭, 倉田義之
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:赤血球製剤および血小板輸血後に発熱, 蕁麻疹, 掻痒などの非溶血性輸血副作用を認めることが多い. これらの副作用と抗好中球抗体との関連性について検討した. 〔対象〕内科系の患者を主とした59症例, 133検体. 〔方法〕全症例で輸血前に血清を採取, 副作用を認めた症例は輸血後に経時的に採取した. 好中球結合性免疫グロブリン(NBIg)はフローサイトメトリー(FCM)にて測定した. 健常人好中球を1%PFAにて固定後5,000/μlに調整. 浮遊液50μlと10倍希釈血清50μlを37℃, 30分反応後洗浄し, FITC標識抗ヒトIgG・ヤギF(ab)_2 分画(TAGO)あるいは抗ヒトIgM抗体を100μl加え, 室温で30分反応後洗浄, FCMにて測定した. 陽性検体については, そのエーテル解離液を用いて健常人好中球との反応性を検討し, 結合した場合抗好中球同種抗体(Anti-neutrophil alloantibody, ANAA), 結合しない場合は免疫複合体(CIC)とした. 〔成績〕(1)副作用を認めた30例中8例(27%), 副作用を認めなかった29例中8例(28%)がNBIg陽性で, 副作用の有無とNBIgとの間に関連を認めなかった. (2)副作用群30例中発熱症例は7例であったが, うち2例(29%)のみNBIg陽性で, NBIgと発熱性副作用の関連も認めなかった. (3)NBIg陽性例の解離液を検討した結果, 副作用群8例, 副作用の無い群8例で両者ともにANAA4例, CIC4例であり, 解離液の検討結果においても両群間に差を認めなかった. (4)NBIgの免疫クラスの検討では, NBIg陽性例16例中IgG単独4例, IgM単独9例, IgG, Mともに陽性が3例であった. IgG単独例はすべてCIC, IgM単独例は5例がANAA, 3例がCICであった(1例未検査). IgG, Mともに陽性例では2例がANAA, 1例がCICであった. 〔考案〕非溶血性輸血副作用, 特に熱発と抗好中球抗体の関連が報告されているが, 今回の検討では副作用の有無とNBIgの成績との間に関連を認めなかった. またNBIgがANAAとCICかの鑑別も行ったが, この成績と副作用の有無との間にも関連を認めなかった.
ISSN:0546-1448