心臓外科手術患者の貧血許容限界の検討
心臓手術において同種血輸血削減あるいは回避の目的にて, 今日まで様々な手法を試みてきた1). 主な手段としては人工心肺の残留血再利用, 輸血開始適応基準の見直し, そして術前自己血貯血である2). 当初, 同種血輸血の使用量は平均20単位を越え, 同種血輸血回避率は10~20%であったものが, 同種血使用量は平均1単位以下, 同種血輸血回避率は90%以上を達成することができた3). その主たる理由は術前自己血貯血であり, 術後の同種血輸血開始適応基準の見直しである. しかしながら, 心疾患を有しながらの術前自己血貯血による貧血許容限界はもとより, 術後の同種血輸血開始適応基準も明確なものはない...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1994/11/01, Vol.40(5), pp.840-842 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心臓手術において同種血輸血削減あるいは回避の目的にて, 今日まで様々な手法を試みてきた1). 主な手段としては人工心肺の残留血再利用, 輸血開始適応基準の見直し, そして術前自己血貯血である2). 当初, 同種血輸血の使用量は平均20単位を越え, 同種血輸血回避率は10~20%であったものが, 同種血使用量は平均1単位以下, 同種血輸血回避率は90%以上を達成することができた3). その主たる理由は術前自己血貯血であり, 術後の同種血輸血開始適応基準の見直しである. しかしながら, 心疾患を有しながらの術前自己血貯血による貧血許容限界はもとより, 術後の同種血輸血開始適応基準も明確なものはないと考えられる. そこで今回は, 術前自己血貯血法の導入により術前, 及び術後における貧血許容限界がどのレベルまで可能かを自験例よりレトロスペクティブに検討をし, われわれの施設での術前貯血式自己血輸血の方法と共に自施設における貧血許容限界に対する考えを述べる. 1. 対象ならびに方法 1)対象1987年11月より1993年12月までに成人の心臓手術症例の内, 術前自己血貯血を試行したのは273例であった. これらの症例の内, 術前後の血液データのある73例を対象とした. Recombinant human erythropoietin(EPO)に鉄剤を使用し, 貯血を行った症例(EPO(+))35例, 平均年齢56.7±8.6歳, 平均体重61.2±10.8kg, 人工心肺時間150.0±31.7分で, EPOを使用せず鉄剤のみにより貯血を行った症例(EPO(-))は38例, 平均年齢52.1±11.5歳, 平均体重57.0±8.9kg, 人工心肺時間177.4±54.8分であった. さらに各々同種血輸血(BTF)を回避できた群(BTF(-))と回避できなかった群(BTF(+))とし, ヘモグロビン(Hb), ヘマトクリット(Ht), 赤血球数(RBC), 網状赤血球数, 採血回数, 採血量, 自己血貯血率, 同種血輸血回避率について検討した. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.40.840 |