抗グロブリン試験 Polyethylene Glycol (PEG) 法の基礎的検討と抗赤血球自己抗体保有患者における臨床的意義

緒言 抗赤血球抗体(抗体)の検出感度を高めることは, 同種抗体による輸血副作用の防止に役立つのみならず, 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断ならびに治療においても重要である. 本邦におけるAIHAの年間発症数 1)をみると180~640人(人口100万対有病率3.1~10.8)と頻度としてはそれほど多くはないが, 溶血性貧血患者総数の25%を占めると言われている. これらAIHAの診断ならびに経過観察には, 直接, 間接抗グロブリン試験(以下DAT, IAT)が用いられており, 抗赤血球自己抗体(自己抗体)の証明は, その他の溶血性貧血との鑑別診断に重要な決め手となっている. しかし, 一...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1994/08/25, Vol.40(3), pp.427-433
Hauptverfasser: 大久保, 進, 宮本, 厚子, 石田, 萌子, 安永, 幸二郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 抗赤血球抗体(抗体)の検出感度を高めることは, 同種抗体による輸血副作用の防止に役立つのみならず, 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断ならびに治療においても重要である. 本邦におけるAIHAの年間発症数 1)をみると180~640人(人口100万対有病率3.1~10.8)と頻度としてはそれほど多くはないが, 溶血性貧血患者総数の25%を占めると言われている. これらAIHAの診断ならびに経過観察には, 直接, 間接抗グロブリン試験(以下DAT, IAT)が用いられており, 抗赤血球自己抗体(自己抗体)の証明は, その他の溶血性貧血との鑑別診断に重要な決め手となっている. しかし, 一方, AIHAの症状を呈しながら自己抗体が検出されない, いわゆるDAT陰性AIHAが問題視されている. また, 遅発性溶血性輸血反応(DHTR)が疑われたにもかかわらず, 抗体が検出されなかった症例の報告2)もあり, これらのことを解明する上においても, 抗体の検出感度を更に高くする必要があると考える. そこで我々は, 1985年Nanceら3)の報告したpolyethylene glycol(PEG)を用いたIATを, 日常の抗体検査やAIHAの患者の経過観察時において従来の方法と比較し, その有用性と臨床的意義について検討したので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.40.427