HLA・HPA適合血小板輸血の問題点

【目的】北九州センターから供給されたHLA及びHPA適合血小板の輸血効果を検討した. 【方法】平成2年度から5年9月末までに43名の患者に供給した243件の輸血効果について24時間後の血小板数が2万/ul以上増加したものを有効, 2万/ul未満を無効として患者の臨床状態, ABO型不適合血小板輸血などについて調査検討した. 【成績】HLA・HPA適合血小板供給本数は, 平成2年度から平成4年度にかけて大幅に増加したが, 平成5年度は昨年並の2000単位前後の見通しである. この間のHLA・HPA適合血小板依頼患者は, 93名でHLA及びHPA抗体が検出されたのは, 69名(74.2%), うち...

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Hauptverfasser: 野原正信, 中田浩一, 坂本久浩, 池田和彦, 真鍋寛司, 佐々木勉, 吉武国利, 藤原弘一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】北九州センターから供給されたHLA及びHPA適合血小板の輸血効果を検討した. 【方法】平成2年度から5年9月末までに43名の患者に供給した243件の輸血効果について24時間後の血小板数が2万/ul以上増加したものを有効, 2万/ul未満を無効として患者の臨床状態, ABO型不適合血小板輸血などについて調査検討した. 【成績】HLA・HPA適合血小板供給本数は, 平成2年度から平成4年度にかけて大幅に増加したが, 平成5年度は昨年並の2000単位前後の見通しである. この間のHLA・HPA適合血小板依頼患者は, 93名でHLA及びHPA抗体が検出されたのは, 69名(74.2%), うち適合血小板を使用したのは43名(HLA抗体のみ36名, HPA抗体のみ1名, HLA・HPA抗体5名)であった. 適合血小板輸血の有効例は, 142/262(54.2%), 無効例は, 120/262(45.8%)であった. 両者間の輸血後副作用についてはそれぞれ10.6%, 7.5%と差は見られなかった. また, 患者側の発熱, 感染, 脾腫, DICなどの臨床症状について両群間で比較してみるといずれか1つでも症状が見られた例は有効例で56/142(39.4%), 無効例72/120(60.0%)でありDICを除く臨床症状保有例で無効が多かった. 次に供血者の血小板上のABO型物質と患者の血清中のABO規則性抗体が問題となる不適合輸血は, 107/262(40.8%)に行われており, その輸血効果を上記の臨床症状のなかった例で調べてみると型適合94例中無効例25例(26.5%)に対し, 型不適合は33例中無効例22例(66.7%)と有意な差がみられた. また, HLA maching grade別に見ると適合度の高いB2x以上は, 有効例で75.9%(69/79)に対し無効例43.3%(21/46)であった. 【考察】第6回日本血小板型ワークショップの集計によると平成4年度の適合血小板無効例は539/5824(9.6%)であり, 北九州センターのHLA・HPA適合血小板の輸血効果は, 予想以上に低いものであった. その原因として感染症や脾腫など臨床状態の悪いときに輸血している事やABO型不適合血小板輸血例が多い事, HLA maching gradeが低いことが考えられた. 今後は, クロスマッチの感度を上げる工夫や血小板上のABO型物質の定量についても検討し適合血小板の輸血効果を高めていきたいと考える.
ISSN:0546-1448