M・A・P保存液を用いた整形外科における貯血式自己輸血の検討

【目的】CPD保存液による貯血式自己血輸血は, 名古屋大学医学部附属病院に於いても整形外科を中心に行ってきたが, 有効保存期間が3週間であるため800ml程度の貯血が限度であった. しかし, 術前術後出血量が2,000ml以上となるような手術では更に多量の貯血が必要であり, 有効保存期間が6週間のM.A.P保存液を用いた液状保存による貯血式自己血輸血の検討を行った. 【方法】リウマチおよび腫瘍を除いた整形外科手術予定患者(成人)を対象とし, 採血時のヘモグロビン(Hb)量が11g/dl以上の場合に1回につき400mlをカワスミ・クオドラップルバッグACD-MAP400を用い採血を行った. また...

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Hauptverfasser: 柴山修司, 加藤栄史, 中田智恵子, 山本恵子, 高松純樹, 長谷川幸治, 川上紀明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】CPD保存液による貯血式自己血輸血は, 名古屋大学医学部附属病院に於いても整形外科を中心に行ってきたが, 有効保存期間が3週間であるため800ml程度の貯血が限度であった. しかし, 術前術後出血量が2,000ml以上となるような手術では更に多量の貯血が必要であり, 有効保存期間が6週間のM.A.P保存液を用いた液状保存による貯血式自己血輸血の検討を行った. 【方法】リウマチおよび腫瘍を除いた整形外科手術予定患者(成人)を対象とし, 採血時のヘモグロビン(Hb)量が11g/dl以上の場合に1回につき400mlをカワスミ・クオドラップルバッグACD-MAP400を用い採血を行った. また, 貯血開始後より鉄剤(フェログラ1錠/日)を内服投与した. 【成績】M.A.P保存液による貯血を, 800ml貯血27例(貯血前Hb量平均12.78g/dl, 貯血期間14~21日), 1,200ml採血12例(貯血前Hb量平均13.26g/dl, 貯血期間20~42日), 1,600ml採血7例(貯血前Hb量平均13.53g/dl, 貯血期間37~42日)の45例に対して行ったが, 術前のHb量が10g/dl未満となることなくすべての症例で目的とする貯血量を確保することができた. また術後1週間後の赤血球・白血球・血小板, 総タンパク・アルブミン, GOT・GPT・LDH, 直接・間接ビリルビン, BUN・クレアチニンの検査結果からも特に異常な所見は認められなかった. 【考察】貯血式自己血輸血にM.A.P保存液を用いることにより, 鉄剤の内服投与のみでも1,600mlの貯血が可能であったが, 側弯症の手術では同種血輸血を必要とした症例も多く, 更に多量の貯血が必要である. しかし, エリスロポエチンの使用によって2,000ml以上の液状保存による貯血が可能となると考えられる.
ISSN:0546-1448