PCR-RFLP法による低濃度HBs抗原陽性例のHBVサブタイプとプレコア変異の検索

HBc抗体検査はRPHA法で見逃されるような低濃度のHBVキャリアの検出に有効であり, HBc抗体検査導入後, 輸血後のB型肝炎はほとんど無くなっている. しかし, HBVキャリアでありながらPHA法でHBs抗体陽性と判定されたために, 日赤のスクリーニングから逃れ, その血液により劇症肝炎を発症した例が昨年の輸血学会で報告された. この例のように低濃度のHBs抗原・抗体を共存する例はサブタイプが関与しているらしいことはすでに報告しているが, 今回はPCR-RFLP法を用いて, 従来のELISA法では検出不可能であった低濃度HBs抗原陽性例について, HBVサブタイプの測定を行い, さらに共存...

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Hauptverfasser: 伊原弘美, 加藤俊明, 池田久實, 関口定美
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:HBc抗体検査はRPHA法で見逃されるような低濃度のHBVキャリアの検出に有効であり, HBc抗体検査導入後, 輸血後のB型肝炎はほとんど無くなっている. しかし, HBVキャリアでありながらPHA法でHBs抗体陽性と判定されたために, 日赤のスクリーニングから逃れ, その血液により劇症肝炎を発症した例が昨年の輸血学会で報告された. この例のように低濃度のHBs抗原・抗体を共存する例はサブタイプが関与しているらしいことはすでに報告しているが, 今回はPCR-RFLP法を用いて, 従来のELISA法では検出不可能であった低濃度HBs抗原陽性例について, HBVサブタイプの測定を行い, さらに共存するHBs抗体の特異性およびプレコア領域の変異についても確認したので報告する. HBs抗原抗体共存例を含むHBs抗原低濃度陽性例および任意に抽出したHBs抗原陽性例 HBVサブタイプ測定はサブタイプ特異モノクローナル抗体を用いたELISA法およびS領域のPCR-RFLP法にて行った. HBs抗体の特異性はサブタイプ既知のHBs抗原(adr, adw, ayw)による吸収試験により確認した. プレコア領域の変異は岡本らの方法に準じ, プレコア83番目の遺伝子のGからAへの点突然変異の有無をPCR-RFLP法にて検出した. 低濃度のHBs抗原抗体共存例でPCR法でHBVの検出された7例についてHBVサブタイプの測定を行ったところ, 7例すべてサブタイプadw, 共存するHBs抗体はanti-rしかもプレコア変異株であった. HBs抗体を共存しない低濃度HBs抗原陽性例においてもその多くはサブタイプadwでプレコア変異株であった. スクリーニングで見逃される危険性のある抗原抗体共存例および低濃度HBs抗原キャリアのほとんどはサブタイプadwで, プレコア変異株であった. このような低濃度HBs抗原キャリアは高齢者に多いこと, キャリアの高齢化が進んでいることから, ウイルスに変異を起こし現行のスクリーニングシステムでは検出できないような例が出現するかもしれない. 今後は, HBVの変異株に対する検討も重要と思われた.
ISSN:0546-1448