UV照射による同種免疫誘導の阻害

輸血に際して生ずる同種免疫は, 発熱, 血小板不応状態といった輸血副作用の原因となる. 近年の研究により同種免疫誘導が, 血液製剤をUV照射することにより阻止されることが知られている. 同種免疫は血液製剤中に混在するアロ白血球に起因するが, 我々はUV照射におけるアロ抗原提示細胞のアロ抗原提示能消失の機構について解析を行った. 材料と方法:ヒト末梢血単核球, マウス脾細胞を用いてリンパ球混合培養(MLR)を行った. また, 反応性T細胞として, アロI-Abに特異的に反応するとともにスーパー抗原, SEBにも反応性を示すCB11.4, さらにアロI-Ab反応性HTB9.3T細胞ハイブリドーマを...

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Hauptverfasser: 南陸彦, 三上幸子, 山崎裕子, 藤巻春香, 天野皓昭
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:輸血に際して生ずる同種免疫は, 発熱, 血小板不応状態といった輸血副作用の原因となる. 近年の研究により同種免疫誘導が, 血液製剤をUV照射することにより阻止されることが知られている. 同種免疫は血液製剤中に混在するアロ白血球に起因するが, 我々はUV照射におけるアロ抗原提示細胞のアロ抗原提示能消失の機構について解析を行った. 材料と方法:ヒト末梢血単核球, マウス脾細胞を用いてリンパ球混合培養(MLR)を行った. また, 反応性T細胞として, アロI-Abに特異的に反応するとともにスーパー抗原, SEBにも反応性を示すCB11.4, さらにアロI-Ab反応性HTB9.3T細胞ハイブリドーマを用いた. これらのT細胞ハイブリドーマは刺激細胞と培養24時間後に産生されたIL-2をCTLL-2細胞株を用いて測定した. Homotypic Cell Aggregationの実験では100ng/mlのPMAを用いた. またmAbによる阻止試験には抗LFA-1, 抗ICAM-1mAbを用いた. UV照射は290~320nmの中波長のUV-Bを用いて0~30,000J/平方メートルを照射した. また, Cos7細胞株へのH-2K^b 遺伝子の導入はpSV2ベクターを用い, DEAEデキストラン法によった. 結果および考察:1)MLRにおいて刺激細胞にあらかじめ5,000J/平方メートルのUV照射を行うとアロ抗原提示能は消失した. また, 同様にアロ反応T細胞ハイブリドーマ, CB11.4およびHTB9.3は, その刺激細胞であるC57BL/6の脾細胞に反応性を示すが, あらかじめUV照射を行った脾細胞に対しては反応性を示さない. 2)CB11.4は抗原提示細胞としてマウス脾細胞の存在下でスーパー抗原, SEBに反応する. この際, あらかじめマウス脾細胞をUV照射しておくとSEBに対する反応性は消失する. SEB提示には抗原提示細胞によるプロッセッシングを必要としないことから, UV照射による抗原提示細胞の障害は少なくともプロッセッシング以外の過程に起こっていると考えられる. 3)Homotypic Cell Aggregationにおいては, 脾細胞にPMAを加えることにより凝集が起こり, この凝集は抗LFA-1およびICAM-1mAbの添加により阻止されることから, 少なくともLFA-1, ICAM-1を介した接着が主体を成していると考えられる. PMAによる細胞の凝集は, あらかじめ細胞を放射線照射することによっては阻害されなかったが, UV照射によって強く阻害された. UV照射によっては各々の接着因子の発現は減少していないことから, UV照射による細胞への影響はLFA-1, ICAM-1分子の機能的障害を引き起こすことに起因していると考えられる. 4)またCos7細胞へH-2K^b 遺伝子をtransfect直後にUV照射を行っても, H-2K^b 分子の発現は阻害されたかった. すなわち, UV照射はMHCクラス1分子の産生, 発現は阻害しないと考えられる.
ISSN:0546-1448