HPA-5b (Br-a) 抗原感作による血小板輸血不応例

血小板輸血不応性の原因としては, 非免疫性および免疫性の二つの機序が考えられる. 前者は感染症, 脾腫およびDIC等による血小板の消費あるいは分布異常が原因となり, 後者は同種抗原感作すなわちHLA抗原感作と血小板特異抗原感作が原因となる1). 後者のうちHLA抗原感作に起因する血小板不応例は約70~90%と推定されている1)2). また血小板特異抗原感作が原因となる血小板輸血不応例はHPA-2(Sib)3), HPA-3(Bak)4)およびNak-a抗原5)について報告されているが, 他の血小板特異抗原系については報告例もなく明らかではない. 血小板特異抗原の一つであるHPA-5抗原(Br)...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1993, Vol.39(4), pp.714-719
Hauptverfasser: 三谷, 孝子, 折原, 武, 荒関, みき, 芳賀, 寛史, 加藤, 俊明, 中瀬, 俊枝, 池田, 久實, 関口, 定美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血小板輸血不応性の原因としては, 非免疫性および免疫性の二つの機序が考えられる. 前者は感染症, 脾腫およびDIC等による血小板の消費あるいは分布異常が原因となり, 後者は同種抗原感作すなわちHLA抗原感作と血小板特異抗原感作が原因となる1). 後者のうちHLA抗原感作に起因する血小板不応例は約70~90%と推定されている1)2). また血小板特異抗原感作が原因となる血小板輸血不応例はHPA-2(Sib)3), HPA-3(Bak)4)およびNak-a抗原5)について報告されているが, 他の血小板特異抗原系については報告例もなく明らかではない. 血小板特異抗原の一つであるHPA-5抗原(Br)はKiefelら6)により新生児血小板減少性紫斑病の児の母血清により発見された. HPA-5抗原は, 血小板膜上のGPIa上に局在し, 血小板膜上の抗体結合部位は約2,000であり, HPA-1(Pl-A)およびHPA-4(Pen/Yuk)(それぞれ50,000と40,000)に比して明らかに少ない. そのため一般的に血小板特異抗体検出法として使用される間接蛍光抗体法では, その抗体活性を検出するのは困難で, 血小板糖蛋白特異的なEIAを基本としたMAIPA(monoclonal antibody specific immobilization of platelet antigens)によって検出されるとした7). 今回我々はHLA適合血小板輸血に対し不応性を示す症例を経験し, その原因がMAIPAによりHPA-5b(Br-a)によると推定できたので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.39.714