輸血後C型肝炎の追跡調査
目的:HCV抗体導入後の輸血後C型肝炎の発生状況とHCV感染者について臨床経過の検討を目的とした. 対象と方法:1989年6月より1992年3月の間に当院を受診し, 輸血経験無しと報告された患者1,042名の中で輸血後定期的に肝機能検査が実施されており, 検体を収集し得た患者279名を対象とした. 輸血後肝炎の診断は日本消化器病学会にて提案された輸血後非A非B型肝炎診断基準に従った. HCV抗体はダイナボットHCV・EIAII, アボットHCV・PHA, Ortho HCVAb ELISA(C100), Ortho HCVAb ELISA II, 極東製薬UBI(EIA)等を用い測定した. 結...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 目的:HCV抗体導入後の輸血後C型肝炎の発生状況とHCV感染者について臨床経過の検討を目的とした. 対象と方法:1989年6月より1992年3月の間に当院を受診し, 輸血経験無しと報告された患者1,042名の中で輸血後定期的に肝機能検査が実施されており, 検体を収集し得た患者279名を対象とした. 輸血後肝炎の診断は日本消化器病学会にて提案された輸血後非A非B型肝炎診断基準に従った. HCV抗体はダイナボットHCV・EIAII, アボットHCV・PHA, Ortho HCVAb ELISA(C100), Ortho HCVAb ELISA II, 極東製薬UBI(EIA)等を用い測定した. 結果:(1)輸血後1年まで検体を収集し, 測定可能であった症例212例中, HCV抗体陽性者は22例(10.4%)で, スクリーニング導入前の1989年以前では42症例中9例(2L4%)1990年以降では170症例中13例(7.7%)であった. (2)確診例におけるHCV抗体陽性率は全13症例中6例(46%)で, 1989年以前では4症例中3例, 1990年以降では9症例中3例であった. (3)HCV抗体陽性を呈した22例のうち, その後抗体が陰性化したのは11例(50%)で, 又, HCV抗体が陽性であった者の中で肝機能の経過を追えた17症例中8例(47%)に持続的な肝機能障害が認められた. 抗体が持続して確認された11症例のうち更に6ヵ月以降の検体が陽性であった9症例中5例が慢性C型肝炎に移行したと推測され, 1例が無症候性キャリアーであることが示唆された. 残り3例については抗体消失の傾向があり, 肝機能は正常化していた. 考察:HCV抗体スクリーニングが導入された事により輸血後C型肝炎の発症は減少傾向であったが, なおHCV感染は少なからず認められており, 現在導入されているCore領域に位置する抗原を追加した第二世代HCV抗体検出試薬の効果に期待したい. |
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ISSN: | 0546-1448 |