新鮮凍結血漿使用状況と適正使用の臨床医の認識

I. 目的: 昭和61年に赤血球濃厚液, 新鮮凍結血漿, アルブミン適正使用のガイドラインが公表され, 一応の理解が得られている. しかし, 新鮮凍結血漿の使用は必ずしもガイドラインにそったものではなく, 濃厚赤血球の抱合せとして使用されたり, アルブミン製剤(Alb)の代用として使用されている. FFPの使用状況と問題点を第39回輸血学会で報告したが, 今回の調査と前回(平成2年)の調査からFFPの適正使用を検討し, さらに臨床医の適正使用への意識向上があったかどうかを検討した. II. 対象と方法: 血液製剤の使用状況を年次別に集計した. FFPがアルブミンの代用として使用されていないかを...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 馬場眞澄, 神田靖男, 石野たい子, 阿部まを, 星野茂角, 川平宏, 並木浩信, 中沢幸子, 伊藤武善, 八田善弘, 堀江孝至, 志田光正
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:I. 目的: 昭和61年に赤血球濃厚液, 新鮮凍結血漿, アルブミン適正使用のガイドラインが公表され, 一応の理解が得られている. しかし, 新鮮凍結血漿の使用は必ずしもガイドラインにそったものではなく, 濃厚赤血球の抱合せとして使用されたり, アルブミン製剤(Alb)の代用として使用されている. FFPの使用状況と問題点を第39回輸血学会で報告したが, 今回の調査と前回(平成2年)の調査からFFPの適正使用を検討し, さらに臨床医の適正使用への意識向上があったかどうかを検討した. II. 対象と方法: 血液製剤の使用状況を年次別に集計した. FFPがアルブミンの代用として使用されていないかを知るためFFPとAlbの使用量を比較した. また, 平成2年と4年の9月からの各々3ヵ月間にFFPを輸血した患者を抽出し, 基礎疾患および凝血学的検査結果と血清アルブミン濃度を調査して, FFPの使用がガイドラインに沿った使用か否かを検討した. III. 結果: アルブミンの使用は昭和59年頃より次第に減少した. 平成4年に投与されたアルブミン製剤の年間使用量は, 最大使用時の38%に粛正された. 一方, FFPの使用単位数は平成元年より3年まで軽度増加したが, この間の手術件数には変化がなかった. 平成4年に救命救急センターが開設されてFFPの使用量が増加した. これは外傷や血漿交換に使用された. 救命センター以外の部門でのFFPの輸血例は, 肝臓および胆嚢癌の手術や出血症例であり, これは平成2年の調査と同じであった. また, 使用目的を投与前の検査から推測すると, 蛋白の是正や術後の全身状態の改善目的が多かった. 平成4年のFFP輸血例は, 2年前より使用前の血液検査がなされていたが, 前回同様に投与前にPT50%以下の凝固異常を認めるものはきわめて少なかった. IV. 結論: 最近では血液検査をしながらFFPの輸血が行われるようになっており, 臨床医の認識が以前より向上していると考えられる. しかし, 検査結果を十分理解した輸血計画が立てられておらず, 予想される手術侵襲や患者の状態など経験的な要素でFFPが注文されている. 肝臓の手術においても術前にPT50%以下の症例はきわめて少なく実際的でないと考えられる. 今後ガイドラインの見直しとともに手術におけるFFPの使用基準を明確にする必要があろう.
ISSN:0546-1448