血液製剤中のYersinia enterocoliticaの挙動

【目的】最近, アメリカ等で献血時に無症候なドナーから採血され, 長期(3週間以上)冷蔵保存された赤血球製剤の輸血後に起こったY.ersinia enterocolitica(Y.e)による敗血症死亡例が報告され問題となってきている. 我が国においてもMAP液の導入により赤血球製剤の保存期間が6週間へと延長され, 今後このY.eによる感染が問題となる可能性もある. そこで今回我々は, Y.eを血液製剤中に注入し, MAP液を保存液とした赤血球製剤中での増殖について検討を行ったので報告する. 【方法】Y.e, 0:3を採血直後のMAP入りACD加4連バッグに採血した全血に注入し, 室温で2時間放...

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Hauptverfasser: 名雲英人, 松田裕一, 茶谷真, 小川徹, 外山陽之助, 中尾功, 竹中道子, 藤澤洌, 清水勝
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】最近, アメリカ等で献血時に無症候なドナーから採血され, 長期(3週間以上)冷蔵保存された赤血球製剤の輸血後に起こったY.ersinia enterocolitica(Y.e)による敗血症死亡例が報告され問題となってきている. 我が国においてもMAP液の導入により赤血球製剤の保存期間が6週間へと延長され, 今後このY.eによる感染が問題となる可能性もある. そこで今回我々は, Y.eを血液製剤中に注入し, MAP液を保存液とした赤血球製剤中での増殖について検討を行ったので報告する. 【方法】Y.e, 0:3を採血直後のMAP入りACD加4連バッグに採血した全血に注入し, 室温で2時間放置後分離調製した. 分離したバフィコート層及び2分割した赤血球MAPをそれぞれ4℃の冷蔵庫に保存し, 2分割した赤血球MAPの一方は, 24時間後白血球除去フィルター(セパセルR-200, 旭メディカル社製)を用いて処理し, それぞれ6週間まで冷蔵保存して生菌数を定量した. 【結果】菌量は, 0.1CFUs/ml(n=4), 4.3CFUs/ml(n=3), 200CFUs/ml(n=4)を接種し, いずれも白血球除去群は増殖が見られず, 赤血球MAP群は200CFUs/ml接種群が1週間目又は2週間目から増殖し, 他の菌接種群は6週間目まで増殖が見られなかった. バフィコート群は, 200CFUs/ml接種群が1週間目及び2週間目から増殖し4.3CFUs/ml接種群は6週間目に増殖が見られたものがあった. 【考察及び結論】Y.eは, MAP液を含んだ赤血球製剤中では菌濃度の低い場合は白血球の殺菌作用により消失しうると考えられた. しかし菌量が多ければ殺菌せずに増殖するが, 採血24時間後に白血球除去フィルターを用いることにより増殖を抑えられた.
ISSN:0546-1448