免疫グロブリン異常による血液型不一致例
【目的】免疫グロブリンの量的異常による, ABO式血液型, 表, 裏不一致例は村田, 鈴木らにより報告されているが, 我々は今回検診時の血液型検査に於て, 表, 裏不一致から免疫グロブリン特に, IgG, IgA, IgEの量的異常を確認できた症例について報告する. 【方法及び成績】被検者Y. Sは18歳男性, 2歳時に鼻の手術を行っており, その際O型として輸血を受けている. ABO式血液型は, 表試験O型, 裏試験AB型の結果を得, 血液型精査を行った. また, 同時に実施した家族の血液型検査の結果被検者の父がA型, 母がO型, 弟がO型であった. 被検者の赤血球について抗A, 抗B血清を...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1993, Vol.39 (2), p.418-418 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】免疫グロブリンの量的異常による, ABO式血液型, 表, 裏不一致例は村田, 鈴木らにより報告されているが, 我々は今回検診時の血液型検査に於て, 表, 裏不一致から免疫グロブリン特に, IgG, IgA, IgEの量的異常を確認できた症例について報告する. 【方法及び成績】被検者Y. Sは18歳男性, 2歳時に鼻の手術を行っており, その際O型として輸血を受けている. ABO式血液型は, 表試験O型, 裏試験AB型の結果を得, 血液型精査を行った. また, 同時に実施した家族の血液型検査の結果被検者の父がA型, 母がO型, 弟がO型であった. 被検者の赤血球について抗A, 抗B血清を用いての吸着解離試験を試みたが解離液中に抗A, 抗B抗体は認めず, 血液中A型, B型転移酵素も確認されなかった. また, 血清中に抗A抗B抗体は認めず, 血清, 唾液中の型物質も確認されなかった. 我々は, 免疫グロブリンの量的異常を疑い, 免疫グロブリンの測定を行った. 結果Total IgG72mg/dl, IgM57mg/dl, IgA16mg/dl, IgE7.0IU/ml, IgD38.5mg/dlと特にIgG, IgA, IgEの著明な免疫グロブリン低下と, 逆にIgDの量的増加を認めた. 生化学検査に於ては総蛋白6.5g/dl, アルブミン4.5g/dl, A/G比2.3と異常を示した. 以上のことから, 免疫グロブリン, 特にIgA, IgE, IgGの量的異常による表裏不一致が示唆された. 【考祭及び結語】ABO式血液型検査から見いだされた免疫グロブリンの量的異常を示す症例であるが, 被検者が小児期に於て鼻の手術をしていること, 偏った免疫グロブリンの減少が見られたことから, この症例が, ある種の免疫不全症を含む疾病に寄与するものか, または遺伝的背景によるものか, 今後被検者の免疫グロブリンの経時変化, 病歴の追求を実施していく予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |