発症9年後にRho(D)抗原の著明な減弱を認めたRAEB in Tの1例

[目的]白血病やMDSの発症にともない, 後天的に血液型が変異することはまれに認められているが, その多くはA, B抗原の変異で, Rho(D)抗原の変異の報告は極めてまれである. 今回われわれはRAEB in T発症9年後にRho(D)抗原の著明な減弱を認めた1例を経験したので報告する. [症例]E.T. 45才, 女性. 1992年頃より動悸と微熱が出現, 1983年3月当科を初診し, RAEB in Tと診断された. 1983年8月よりAra-C少量法を施行したが奏功せず, 以後対症療法のみで経過観察となった. 初診時の血液型はO型, Rho(D)陽性で, 1989年2月まで約200単位...

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Hauptverfasser: 斉藤憲治, 渡辺伸江, 榎原英夫, 古沢新平, 斉藤あつ子, 篠原茂, 山本恵美子, 梁瀬直樹
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:[目的]白血病やMDSの発症にともない, 後天的に血液型が変異することはまれに認められているが, その多くはA, B抗原の変異で, Rho(D)抗原の変異の報告は極めてまれである. 今回われわれはRAEB in T発症9年後にRho(D)抗原の著明な減弱を認めた1例を経験したので報告する. [症例]E.T. 45才, 女性. 1992年頃より動悸と微熱が出現, 1983年3月当科を初診し, RAEB in Tと診断された. 1983年8月よりAra-C少量法を施行したが奏功せず, 以後対症療法のみで経過観察となった. 初診時の血液型はO型, Rho(D)陽性で, 1989年2月まで約200単位の白血球除去赤血球輸血を受けた. しかしその後貧血の進行がみられなくなり輸血は中止されていた. 再び輸血が必要となった1992年5月の検査で, Rho(D)陰性と判定された. [方法]検査用試薬, 抗血清は市販品を用いた. 抗D抗体吸着解離試験は熱解離法に従った. 免疫蛍光抗体法は雨宮らの方法にほぼ準じ, FAC Scan analyzerにて蛍光強度を測定した. [成績]ポリクローナルおよびモノクロナール抗D血清を用いたRho(D)抗原の検索では直後判定(IS)およびD^u 確認試験(IAT)ともに陰性であった. 抗D抗体吸着解離試験では, 解離液とR_1 R_2 赤血球とのIATにおける反応は陽性を示した. 免疫蛍光法ではγγ赤血球とほぼ同等の蛍光量を示した. 血液型表現型は, O, cc(D?)ee, Le(a-b+), p_1 (-), MNSS, Fy(a+b-), Jk(a-b+), Di(a-)で, 血清中に抗D抗体を含め不規則抗体は認められなかった. 輸血はRho(D)陰性洗浄赤血球を用い, これまでに計48単位輸血したが副作用はまったく認められなかった. [結論]ISおよびIATが陰性で, 抗D抗体吸着解離試験が陽性を示したことから, 本例のRho(D)抗原は完全には陰性化していないが, D^u よりも抗原量が著しく減少したものに変異したと考えられる.
ISSN:0546-1448