整形外科領域における自己血輸血の標準化, エリスロポエチンの使用基準

【目的】予定手術における自己血輸血法は, 輸血副作用の防止対策として極めて有用である. 術後早期に食事の摂取できる整形外科予定手術例では, 1,200mlを貯血できればほとんどの手術で同種血輸血が回避可能であり, 自己血輸血の適応は大きい. ところが現在一般的に行なわれている術前貯血法には, 血中ヘモグロビン値(以下Hb)が11g/dl以上なくては採血できないこと, 血液の保存期間が3週間に制限されていることという二つの制約があり, 必要量を貯血出来ない場合がある. そこで, この制約内で1,200mlの貯血が可能かどうか検討した. 【方法】対象は股関節, 脊椎手術の10~82歳, 男117例...

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Hauptverfasser: 脇本信博, 杉山美雪, 十字猛夫, 高橋孝喜
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】予定手術における自己血輸血法は, 輸血副作用の防止対策として極めて有用である. 術後早期に食事の摂取できる整形外科予定手術例では, 1,200mlを貯血できればほとんどの手術で同種血輸血が回避可能であり, 自己血輸血の適応は大きい. ところが現在一般的に行なわれている術前貯血法には, 血中ヘモグロビン値(以下Hb)が11g/dl以上なくては採血できないこと, 血液の保存期間が3週間に制限されていることという二つの制約があり, 必要量を貯血出来ない場合がある. そこで, この制約内で1,200mlの貯血が可能かどうか検討した. 【方法】対象は股関節, 脊椎手術の10~82歳, 男117例, 女280例の397例で, 週1回200~400mlの採血を行い, 1日量200mgの鉄剤を併用した. 4回以上採血を要した150例に戻し輸血法を併用した. また投与したエリスロポエチン(rEPO)は静脈内投与119例, 皮下投与53例であった. Hb値の変化と貧血回復率から, 1)戻し輸血法の適応と限界, 2)rEPOの投与対象, 3)rEPOの最少の投与法を検討した. 【結果】1)戻し輸血法併用例では, 貯血回数は4~11回で, 800~3,500mlを貯血した. しかし, 貯血期間の延長は通院する患者の負担を増大するなどの問題があった. 2)20歳以下の若年者は採血後貧血からの回復が良好で, rEPOを追加する必要がなかった. 50歳以上の中高齢者が毎週貯血する際には台併症に留意しながらrEPOを追加すべきであるが, 初期Hb値が14g/dl以上の場合はrEPOは不要である. 3)最少量のrEPOで効果を挙げる投与法は, 第1回採血の1週前から, 静脈内投与では1回200U/kg量を週2回, 皮下投与では400U/kg量を週1回投与であった. 【考察】戻し輸血法や適正なrEPOの併用で, 貯血法の制約内での1,200ml貯血が可能であった. しかし, 腎性貧血症例ではrEPO投与に起囚していると考えられる副作用が多く報告されていることから, 術前貯血法患者へのrEPOの投与は必要最小限でなければならない.
ISSN:0546-1448