宮崎医科大における手術時血液準備量について
目的:近年血液製剤の適正化が叫ばれているが, 当院では昭和61年より産婦人科と脳外科の一部の症例についてT&Sを実施し効果をあげている. 今回全診療科における術式と輸血実施状況の見直しをはかり, 血液製剤の節減と業務効率化を目的のために当院の手術時血液準備量の設定を試みたので報告する. 調査対象:当院手術部において昭和63年度から平成元年度の2年間に実施された手術総数, 2,955例のうち同一術式で症例数の比較的揃った100術式を対象とした. 調査方法は手術麻酔記録と血液製剤依頼伝票とにより, 最終術式名称, 術中出血量, 準備血液量と輸血量, C/T比, 輸血実施率などを求め最大手術...
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Zusammenfassung: | 目的:近年血液製剤の適正化が叫ばれているが, 当院では昭和61年より産婦人科と脳外科の一部の症例についてT&Sを実施し効果をあげている. 今回全診療科における術式と輸血実施状況の見直しをはかり, 血液製剤の節減と業務効率化を目的のために当院の手術時血液準備量の設定を試みたので報告する. 調査対象:当院手術部において昭和63年度から平成元年度の2年間に実施された手術総数, 2,955例のうち同一術式で症例数の比較的揃った100術式を対象とした. 調査方法は手術麻酔記録と血液製剤依頼伝票とにより, 最終術式名称, 術中出血量, 準備血液量と輸血量, C/T比, 輸血実施率などを求め最大手術血液準備量の設定を試みた. 結果:T&Sが可能であった術式は, 後頭下開頭神経血管減圧術, V-Pシャント術, 脊椎固定術, 胆嚢摘出術, 虫垂切除術, 副腎腫瘍摘出術, 経尿道的前立腺切除術, 経尿道的膀胱腫瘍切除術, 経蝶形骨洞腫瘍摘出術, 頸椎固定術, STA-MCA(中大脳動脈浅側頭動脈)吻合術, AVM摘出術, 甲状腺全摘術, 甲状腺亜全摘術, 甲状腺部分切除術, 拡大胸腺摘出術, 胃亜全摘出術, 胃空腸吻合術, 胆嚢摘出・総胆管切開術, S状結腸切除術, 結腸切除術, 腰部交感神経節切除術, 腰部椎間板ヘルニア摘出術(Love法), 腰椎ヘルニア摘出術, 膵脾合併切除術, 単純子宮全摘術, 単純子宮全摘術・附属器切除術, 準広汎子宮全摘術, 拡大子宮全摘術, 卵巣腫瘍摘出術, 被膜下前立腺摘除術, 片側尿管全摘・膀胱部分切除術, 人工肛門造設術, 乳房切断術であった. またMSBOS1は, 改良B-Tシャント術, MSBOS2は, 下顎骨矢状分割または骨切り術, 副腎摘出術, 噴門側胃切除術, 幽門側胃切除術, 直腸前方切除術であった. MSBOS3は, 肝亜区域切除術, 小腸切除術, 脊髄腫瘍摘出術, 拡大胆嚢摘出術であった. MSBOS4は縦隔腫瘍切除術, 大腸全摘術, 膵頭十二指腸切除術, 広汎子宮全摘術, 胃全摘術・肝脾合併切除術, 頸椎椎弓切除術であった. MSBOS5の症例は, 胃全摘術, 寛骨臼球状骨切り術, 股関節全置換術 , ASD開心根治術, 頸椎形成術であった. MSBOS6以上は, 食道亜全摘術・食道胃管吻合術, 頭頂開頭腫瘍摘出術, 下顎骨離断術, 食道離断術, 弁置換術, 肝切除術, 腹部大動脈人工血管置換術, A-Cバイパス術, 膀胱全摘術, 直腸マイルズ術, 解離性大動脈瘤人工血管置換術であった. 考察:当院における最大手術血液準備量の作成を試みた. その結果, この設定基準をもとに2年間の実績にあてはめてみると, 準備製剤の約67%の血液節減が可能であった. 今後血液製剤の適正化を普及するには最大手術血液準備量やT&Sの積極的導入と同種輸血回避のための自己血輸血の拡大, エリスロポエチンなど造血因子製剤の併用が輸血の安全性を向上させるうえで重要である. |
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ISSN: | 0546-1448 |