MAP加濃厚赤血球の製造と長期保存試験
近年の輸血は, 「患者に必要な成分だけを必要量輸注する」ことを目指している. これが成分輸血であり, このために赤十字血液センターでは各種の成分製剤‐濃厚赤血球, 濃厚血小板, 新鮮凍結血漿等を製造供給している. しかし, 全血から血漿を分離すると添加されたCPD液のほとんどは血漿中にあり, 赤血球保存のためには利用されていない. さらに, 同じ濃厚赤血球でもヘマトクリット(Ht)値は60~85%とさまざまな製品がある1). 濃厚赤血球であってもHtが60~85%ということは, まだ多量の血漿を含有していることを示しており, さらに血漿の有効利用が可能である. また, 輸血副作用を軽減するため...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1991/06/10, Vol.37(3), pp.404-410 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年の輸血は, 「患者に必要な成分だけを必要量輸注する」ことを目指している. これが成分輸血であり, このために赤十字血液センターでは各種の成分製剤‐濃厚赤血球, 濃厚血小板, 新鮮凍結血漿等を製造供給している. しかし, 全血から血漿を分離すると添加されたCPD液のほとんどは血漿中にあり, 赤血球保存のためには利用されていない. さらに, 同じ濃厚赤血球でもヘマトクリット(Ht)値は60~85%とさまざまな製品がある1). 濃厚赤血球であってもHtが60~85%ということは, まだ多量の血漿を含有していることを示しており, さらに血漿の有効利用が可能である. また, 輸血副作用を軽減するためにも赤血球製剤中から白血球を除去することが望ましい2)3). 血液センターとしてはこれらの問題点を早急に改善し, 一定品質の良好な赤血球製剤を供給すると共に, 血漿をさらに集め, 一層の分画製剤原料の確保を図るべきである. Buffy coat法(4連bagシステム)は, 初回に強遠心し, 血漿部分をできるだけ回収した後, buffy coatから血小板製剤を調製する方法であり, 血小板の損傷を軽減するとともに, 赤血球製剤中への白血球の混入も軽減できるという利点がある4)5). しかし, 操作の煩雑性がルーチン化時の問題点であった. これらについては, 自動血液分離装置が開発されたことでルーチン化行程に導入可能となった6). 一方, 得られた赤血球沈層(Ht90~95%)には赤血球添加液を加え保存することで, 長期保存が可能となる. SAGM(Hogman), ADSOL(Baxter Healthcare), Optisol(Terumo)はすでに欧米で利用され, 5~6週間保存赤血球の有効性が認められている7)8). また, MAPは我々がSAGMを改良したもので, 溶血が低く抑えられることが特徴であり9)~11), 6週間保存赤血球の輸注後24時間生存率も良好である12). 従って, 4連bagシステムを用い血漿とbuffy coatを除去した後, 赤血球添加液としてMAP液を加え長期保存を図ることの利点は大きいと考えられる. ここでは, MAP入りACD加4連bagを新たに作成し, MAP加濃厚赤血球(MAP-CRC)の自動血液分離装置での製造, ならびにin vitroにおける長期保存性を検討したので報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.37.404 |