輸血後肝炎追跡調査にみるC型輸血後肝炎の発症と経過
【目的と対象】1988年8月以来輸血後肝炎追跡調査を実施した. 3ヵ月以上経過観察が可能であった症例260例とその全供血者を対象として, HCV抗体を測定し, HCVと輸血後肝炎との関連について検討した. 【方法】HCV抗体の測定は, C100-3抗体(オーソー)とGOR抗体(特殊免疫研)をELISAにて測定した. 肝炎の診断は, 1985年2月肝炎研究連絡協議会改定の基準に準じた. 【結果】(1)13例に肝炎が発症した. 内8例61.5%がC型肝炎であった. (2)C型肝炎発症8例の経過:輸血後2~12週目に発症し, 7例がC100-3抗体陽性となった. 抗体陽性化の時期は8週目で陽性化した...
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Zusammenfassung: | 【目的と対象】1988年8月以来輸血後肝炎追跡調査を実施した. 3ヵ月以上経過観察が可能であった症例260例とその全供血者を対象として, HCV抗体を測定し, HCVと輸血後肝炎との関連について検討した. 【方法】HCV抗体の測定は, C100-3抗体(オーソー)とGOR抗体(特殊免疫研)をELISAにて測定した. 肝炎の診断は, 1985年2月肝炎研究連絡協議会改定の基準に準じた. 【結果】(1)13例に肝炎が発症した. 内8例61.5%がC型肝炎であった. (2)C型肝炎発症8例の経過:輸血後2~12週目に発症し, 7例がC100-3抗体陽性となった. 抗体陽性化の時期は8週目で陽性化した1例(軽症で経過)以外は16週以降であり11ヵ月目・17ヵ月目で陽性化した症例もあった. 抗体一過性陽性の2例と抗体陰性のまま経過した1例は急性肝炎で治癒し, 他の抗体持続陽性の5例はいずれも慢性化した. (3)8例の肝炎発症例に輸血された血液の抗体:C100-3抗体陽性・GOR抗体陽性血1単位輸血5例, GOR抗体陽性血1単位輸血1例, いずれも陰性の血液のみ輸血2例であった. (4)C100-3抗体陽性血を輸血した11例の経過:5例45.5%に肝炎が発症し, 輸血前から抗体陽性の1例を除く10例中5例50.0%がC100-3抗体陽性になった. 測定値がmax.の高抗体価陽性血輸血の5例中4例に肝炎が発症し, 他の1例は4~8週目の早期に抗体一過性陽性となった. 肝炎発症の5本の血液はいずれもGOR抗体陽性であった. (5)C100-3抗体陰性血輸血・肝炎未発症で6ヵ月以上経過した235例中8例3.4%がC100-3抗体陽性となった. C型肝炎発症は3例1.3%であった. 未発症の5例は2~6週目の早期に抗体が陽性になった. 【まとめ】C型輸血後肝炎は高率に慢性化(5/8例)する. 特にC100-3抗体持続陽性例はすべて慢性化した. 早期の抗体出現が未発症例にみられ, 感染既往と中和抗体の存在が示唆された. |
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ISSN: | 0546-1448 |