輸血後肝炎の発生状況とHCV抗体

【目的】1989年および1990年前半の輸血後肝炎の発生状況を検索し, HCV抗体との関連を検討した. 【方法】一般外科の輸血症例のなかから1989年は77例, 1990年は36例を対象とした. 肝炎の判定は輸血後非A非B肝炎の判定基準を適用し, life table法にて累積肝炎発生率を求めた. また1989年6月から11月の間に44例の供血者血清および受血者の輸血前後のHCV抗体価を測定した. 【成績】1989年および1990年の輸血後肝炎例と累積肝炎発生率はそれぞれ8例(確診6, 疑診2), 4例(確診1, 疑診3)および11%, 13%で, 本院の過去6年間の発生率とほぼ同じ値であった...

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Hauptverfasser: 田邊友紀男, 川井三郎, 三好知明, 露久保辰夫, 高橋一洋, 横島清, 片山透
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】1989年および1990年前半の輸血後肝炎の発生状況を検索し, HCV抗体との関連を検討した. 【方法】一般外科の輸血症例のなかから1989年は77例, 1990年は36例を対象とした. 肝炎の判定は輸血後非A非B肝炎の判定基準を適用し, life table法にて累積肝炎発生率を求めた. また1989年6月から11月の間に44例の供血者血清および受血者の輸血前後のHCV抗体価を測定した. 【成績】1989年および1990年の輸血後肝炎例と累積肝炎発生率はそれぞれ8例(確診6, 疑診2), 4例(確診1, 疑診3)および11%, 13%で, 本院の過去6年間の発生率とほぼ同じ値であった. FFPを含めた平均輸血単位数は肝炎例対非肝炎例が1989年が29.9対11.0で, 1990年が10.3対6.7であり, いずれも肝炎発生例の輸血単位数が多かった. 1989年の肝炎8例中2例に, 1990年の肝炎4例中1例にHCV抗体が検出された. 抗体検出は輸血後3~5か月の時期に多くみられた. これらの肝炎の潜伏期は1~8週間で, GPT値は最高638であり, 持続期間は0.5~12か月以上であった. 1986年6月から11月の間の44例の供血者血清および受血者の輸血前後のHCV抗体価を測定したが, このうち供血者血清がすべて測定できたものは34例であり, 一部測定できなかったもの8例, 全く測定できなかったもの2例であった. この時期に輸血された552単位のうち3単位がHCV抗体陽性であった. HCV抗体陰性血の輸血例はいずれの症例も輸血後HCV抗体は陰性であった. 3例のHCV抗体陽性血輸血例の経過は, 1例は3週後に肝炎を発症し多峰性のGPTの上昇が4か月間続きHCV抗体が陽性になった. 1例はHCV抗体は陰性のままで明らかな肝炎も発症しなかった. 1例は輸血1か月後にHVC抗体が陽性化したが肝炎は発症しなかった.
ISSN:0546-1448