ABO式血液型の表試験が部分凝集を呈したAB型急性白血病の一例

I. 目的 ABO式血液型表試験において抗A, 抗B, 抗A+B血清の反応が部分凝集を呈し, 精査の結果, 血球の抗原性の低下が認められた一症例について報告する. II. 症例及び成績 患者は68歳女性で, 急性単球性白血病で入院した. ABO式血液型の表試験で, 抗A血清と+^mf , 抗B血清及び抗A+B血清と3+^mf の反応を呈し, 人由来・動物免疫由来抗血清のいずれにも部分凝集(m.f.)を認めた. 抗A_1 レクチンとは反応せず, 抗Hレクチンとは2+の反応を呈した. 裏試験ではA, B, O血球との反応は, 陰性であった. 血球の凝集開始時間は, 人由来抗A血清で17秒, 動物免...

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Hauptverfasser: 間宮智子, 原律子, 前田陽子, 岩切重憲, 中野敦子, 工藤秀機, 本田武敏, 富山順二, 足立山夫, 神白和正
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:I. 目的 ABO式血液型表試験において抗A, 抗B, 抗A+B血清の反応が部分凝集を呈し, 精査の結果, 血球の抗原性の低下が認められた一症例について報告する. II. 症例及び成績 患者は68歳女性で, 急性単球性白血病で入院した. ABO式血液型の表試験で, 抗A血清と+^mf , 抗B血清及び抗A+B血清と3+^mf の反応を呈し, 人由来・動物免疫由来抗血清のいずれにも部分凝集(m.f.)を認めた. 抗A_1 レクチンとは反応せず, 抗Hレクチンとは2+の反応を呈した. 裏試験ではA, B, O血球との反応は, 陰性であった. 血球の凝集開始時間は, 人由来抗A血清で17秒, 動物免疫由来で20秒, 同様に人由来抗B血清で15秒, 動物免疫由来で8秒であった. 血球の被凝集価は, 人由来の抗A血清で16倍抗B血清では128倍であり, 抗A及び抗B血清のいずれにも部分凝集を認めた. 熱解離法による吸着解離試験では, 抗A血清を用いた場合には, 吸着後上清より64倍, 解離液中より16倍の抗A凝集素を認め, 抗B血清を用いた場合, 吸着後上清より8倍, 解離液中より1倍の抗B凝集素を認めた. A型転換酵素活性は8倍, B型転換酵素活性は256倍であった. 凝集血球と非凝集血球の算定は, 希釈した抗A(B)血清と希釈した患者血球を混合して, 血球計算盤によって非凝集血球を算定し, 使用した患者血球との比から算出した. 抗A血清の人由来での非凝集血球の比率は79.1%, 動物免疫由来では79.9%で, 抗B血清では各々45.3%, 56.5%であった. 凝集抑制試験による唾液中型物質はA型物質を1024倍, B型物質を512倍, H物質を64倍認め, 患者のLewis式血液型は, Le(a-b+)の分泌型であった. III. まとめ ABO式血液型の表試験で抗A, 抗B血清との反応で, 非凝集血球(部分凝集)を認め, 凝集開始時間の延長が正常対照とほぼ同程度の力価であったが, 抗A血清では著しい低下を認めた. 血清中の型転換酵素はA型, B型共に認められたが, B型転換酵素は正常対照とほぼ同程度であるのに対し, A型転換酵素活性は, 著しい低下が認められた. このことから疾病によって血球上の抗原活性が低下しABO式血液型表試験で部分凝集が認められたものと判定した. しかしながら家系調査が実施出来なかったことから遺伝による血液型の亜型, 変種の可能性は否定し得ない.
ISSN:0546-1448