新鮮血液の使用実態
I. 目的 血液製剤の合理的な使用に対する広範囲な啓蒙と, 昭和61年7月に厚生省から出された『血液製剤使用適正化ガイドライン』などを契機に各々の施設で医学的考察に立脚した血液製剤が使用されつつある. しかしながら, その必要性に殆ど根拠が無い, と言われ続けられている新鮮血液の臨床からの要求で今日でも保存血液, 他の赤血球製剤を含めた製剤の10%以上を占めている. そこで今回も昨年に続き, 新鮮血液の使用について実態を調査し, 使用内容について検討を行ったので報告する. II. 対象および方法 調査対象期間は平成2年9月から同11月までとし, 対象患者はこの期間に少なくとも1単位以上の新鮮血...
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Zusammenfassung: | I. 目的 血液製剤の合理的な使用に対する広範囲な啓蒙と, 昭和61年7月に厚生省から出された『血液製剤使用適正化ガイドライン』などを契機に各々の施設で医学的考察に立脚した血液製剤が使用されつつある. しかしながら, その必要性に殆ど根拠が無い, と言われ続けられている新鮮血液の臨床からの要求で今日でも保存血液, 他の赤血球製剤を含めた製剤の10%以上を占めている. そこで今回も昨年に続き, 新鮮血液の使用について実態を調査し, 使用内容について検討を行ったので報告する. II. 対象および方法 調査対象期間は平成2年9月から同11月までとし, 対象患者はこの期間に少なくとも1単位以上の新鮮血液を使用した入院患者27名の主として外科系患者である. 検討項目はPT, APTT, ヘパプラスチン, TP, A/G比, 赤血球数, Hb血小板数を中心に検討した. III. 成績および考察 27症例で新鮮血液が適応と思われるのは肝癌, 肝硬変(十二指腸潰瘍, 膵嚢胞合併)のそれぞれ各1例であった. 肝癌患者は69歳男性である. 術前のPT, APTTは何れも延長, ヘパプラスチン値, TP, A/G比, 赤血球数, Hb, 血小板数の低下があった. この例では手術時に7単位の新鮮血液, 15単位のFFPを輸血した. また2例目は66歳の女性で凝固学的, 血液学的検査成績は症例1とほぼ同程度か, あるいは全体的に低下している症例である. なお他の25例は血液成分が部分的に低下しているものの必ずしも新鮮血液が適応とは思われない症例であった. 一般的に新鮮血液の適応は大量出血とそれに伴う血小板, 凝固因子活性の低下による出血傾向のある場合とされている. しかし, 現実的には明確な適応基準もなく, 対応については凝固学, 血液学あるいは生理学的根拠より, むしろ各々の医師の主観と経験に基づいた輸血が優先される可能性があった. 従って, このことが今日の不必要な新鮮血液の申込, あるいは不合理な使用となっているかも知れない. |
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ISSN: | 0546-1448 |