簡便な血漿採取システムCPAS-IIの開発
【目的】現在血漿採取のためのシステムはその殆どが母体センター又は献血ルームでの使用に限られるものであり移動採血車では使用が困難であった. そこで我々は特別な装置を必要とせず落差を利用して血漿を採取するシステムの開発を行いその有用性を示してきた1). 今回我々はさらに操作性を向上させるため落差返血のかわりに加圧返血しうる小型の装置を組み込むことにより現在行われている全血採血と同じ様な感覚で行える車載可能な採漿システム(CPAS-II)を開発しその有用性を確認したので報告する. 【方法】血漿採取セットはポリプロピレン製多孔質平膜を用いた積層型血漿分離器と血液バッグから構成される. 減圧加圧装置は現...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1991, Vol.37 (2), p.262-262 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】現在血漿採取のためのシステムはその殆どが母体センター又は献血ルームでの使用に限られるものであり移動採血車では使用が困難であった. そこで我々は特別な装置を必要とせず落差を利用して血漿を採取するシステムの開発を行いその有用性を示してきた1). 今回我々はさらに操作性を向上させるため落差返血のかわりに加圧返血しうる小型の装置を組み込むことにより現在行われている全血採血と同じ様な感覚で行える車載可能な採漿システム(CPAS-II)を開発しその有用性を確認したので報告する. 【方法】血漿採取セットはポリプロピレン製多孔質平膜を用いた積層型血漿分離器と血液バッグから構成される. 減圧加圧装置は現在全血採血に使用されている真空採血装置(ヘモクイック)と同様の形状で, 採血バッグをいれた装置の内部を陰圧にして全血を採血し, 採血後は装置内を陽圧にしてバッグを加圧して血液を血漿分離器に送り, 血漿を分離しながら血球をドナーに戻すものである. 本装置を用いて健常ドナー10名(男性9人)に対して採血時の装置内圧力を180mmHg, 返血時の圧力を80mmHgとして200ml採血を5回繰り返して血漿を採取した. 【結果】施行前後でドナーに副作用は認められず, 採血針の穿刺から抜針までの時間34┘8”±4↑”(n=10)で367.1±51.8mlの血漿が得られた. 採取された血漿の総蛋白, アルブミン, フィブリノーゲン, F VIII因子の平均回収率は各々90%, 89%, 87.5%, 90.6%であった. また溶血は殆ど無く加圧返血による影響は認められなかった. 【考察と結論】本システムは(1)抗凝固剤注入, 採血, 返血・血漿分離を自動的に行うことができ操作が簡便である(2)血液ポンプを使用せず一定圧力で濾過を行うため制御が単純で装置が簡略化され安全性が高い(3)移動採血車内での使用が十分可能なコンパクトなシステムである(4)全血採血にも使用可能であり有用なシステムであると考える. 1)日本輸血会誌. 36, 418-423, 1990. |
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ISSN: | 0546-1448 |