自己血輸血の採血による貧血の検討

貧血が発生してから骨髄で赤血球産生が亢進するまで約7-10日を要するとされているが, 今回我々は自己血輸血のための採血による貧血がどの程度まで進むのかを経時的に検討したので報告する. 方法:整形外科, 口腔外科および一般外科の待機手術の患者を対象として自己血輸血のための貯血を行った. 術前3週間前より1週間間隔で合計3回採血した患者をA群, 2週間前より2回採血した患者をB群とした. ともに1回あたりの採血は200または400mlとし, 両群の患者のRBC, Hb, Ht, Reticulocyte等を各採血前および手術日まで経時的に測定した. またすべての患者に採血1週間前より鉄剤(フエログ...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1991, Vol.37 (2), p.254-254
Hauptverfasser: 富山秀和, 野々口博史, 吉野樹美江, 阿部久美子, 藤原孝記, 小松文夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:貧血が発生してから骨髄で赤血球産生が亢進するまで約7-10日を要するとされているが, 今回我々は自己血輸血のための採血による貧血がどの程度まで進むのかを経時的に検討したので報告する. 方法:整形外科, 口腔外科および一般外科の待機手術の患者を対象として自己血輸血のための貯血を行った. 術前3週間前より1週間間隔で合計3回採血した患者をA群, 2週間前より2回採血した患者をB群とした. ともに1回あたりの採血は200または400mlとし, 両群の患者のRBC, Hb, Ht, Reticulocyte等を各採血前および手術日まで経時的に測定した. またすべての患者に採血1週間前より鉄剤(フエログラ100-200mg/日)の径口投与を行った. 全例数155例であった. 結果:採血前の検査でA群:RBC 446, Hb 13.7, Ht 41.3, B群:RBC 443, Hb 13.8, Ht 41.1であった. A群の1, 2, 3回目の採血量は各々平均369, 225, 231mlで計825mlの貯血を行った採血によるHt値の減少は1, 2, 3回目で各々200ml(1単位)あたり1.95, 0.78, 0.14%と次第に減少し, 平均1.21%であった. B群では1, 2回目で各々平均350, 250ml計600mlの採血を行った. 採血によるHtの減少は1, 2回目で各々200mlあたり1.44および0.44%で平均1.2%であった. 考察:循環血液量を4Lと仮定するとHt41%の患者からA群と同量の採血をすると理論的にはHt値は1, 2, 3回目の採血で各々3.8, 2.1, 2.1%減少する200ml採血あたりに換算すると2.06, 1.87, 1.82%であり, A群では実際には1, 2, 3回目の採血で理論値の各々95, 42, 8%の貧血しか見られなかったことになる. 結果として, A群では理論的に8%のHtの減少が実際には5%で押えられた. 結論:鉄剤併用で合計1000ml程度までの自己血輸血は安全に行えると計算され, Ht値の減少は一般的に採血1単位あたり1.2%と予想される.
ISSN:0546-1448