HCV抗体測定導入前の輸血症例に於ける肝炎追跡調査

【目的】1989年12月より, 日赤血液センターにおいてHepatitis C Virus(HCV)抗体検査が導入され, 非A非B型肝炎の予防が行われているが, 当病院に於てHCV抗体検査導入前に輸血された症例の肝機能検査の追跡調査とHCV抗体測定を行い, 輸血後の肝障害とC型肝炎との関連性を検討した. 【方法】日赤血液センターに於てHCV抗体導入前に輸血を行った423例中, 輸血後3ヶ月以上にわたって肝機能検査を定期的に経過観察し得た症例は82症例で, これらの症例について肝炎の発症とHCV抗体の関連について検討した. 肝炎の診断は日本消化器病学会で提案された非A非B型肝炎診断基準に従った....

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1991, Vol.37 (2), p.215-215
Hauptverfasser: 瑞慶覧広喜, 宮城保浩, 屋嘉比静子, 平良玲子, 佐久川廣, 外間政哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】1989年12月より, 日赤血液センターにおいてHepatitis C Virus(HCV)抗体検査が導入され, 非A非B型肝炎の予防が行われているが, 当病院に於てHCV抗体検査導入前に輸血された症例の肝機能検査の追跡調査とHCV抗体測定を行い, 輸血後の肝障害とC型肝炎との関連性を検討した. 【方法】日赤血液センターに於てHCV抗体導入前に輸血を行った423例中, 輸血後3ヶ月以上にわたって肝機能検査を定期的に経過観察し得た症例は82症例で, これらの症例について肝炎の発症とHCV抗体の関連について検討した. 肝炎の診断は日本消化器病学会で提案された非A非B型肝炎診断基準に従った. HCV測定試薬はオーソ社製HCV Ab ELISAテストを使用し, ベーリングベルケ社製ベーリングELISAプロセッサーIIで測定し, HBs Ag測定は特殊免疫研究所マイセルHBs Ag(R-PHA)法で測定した. 【結果】輸血後肝炎の診断基準にそって輸血後3ヶ月以上経過観察された82症例中, 確診例が8例(9.8%), 疑診例15例(18.3%)であった. これらの82症例の中で, その後の経過観察と血清検体の入手が可能であったものは50例であり, そのうち疑診/確診例は計15例(11/4)であった. HCV抗体の検出率は50例中14例(28%)で, 疑診例及び確診例15症例中5例33.3%(疑診例11/4確診例4/1)であった. また, 肝障害の認められなかった35症例中10例(28.6%)がHCV抗体陽性を示した. これらのHCV抗体陽性を示した14症例中, 経時的に入手し得た検体を測定した結果では, 11例中9例においてHCV抗体が一旦は陽性化したが, その後陰性化が見られた. HBs Ag陽性者は2例で, 共にHCV抗体を共有しており, 1例に肝機能の異常がみられた. 【結論】輸血症例の追跡調査の結果, 輸血後3ヶ月以内に明かな肝障害が出現した症例(確診例)では, その後の追跡調査では, 高率に慢性化の傾向が観られた. HCV抗体の出現は, 肝炎が発症した症例の33.3%で, 肝炎の発症のない症例でも28.6%に認められた.
ISSN:0546-1448