遅延性溶血性輸血副作用を示した抗Eの一例

46歳の乳がんの女性(A, CCDee, 不規則抗体, 直接抗グロブリンテストともに陰性, 妊娠歴3回, 輸血歴不明)に, 手術前に行った輸血により遅延性溶血性輸血副作用と思われる症例を経験した. 手術後(輸血後11日後)から血色素尿出現LDH, GOT, 総ビリルビン値の上昇が見られ, 一方ハプトグロビン値は著明に減少していた. 不規則抗体は25日後に抗Eが検出された. 抗体価は間接抗グロブリン法で1倍, 33日後8倍, 8ヵ月後512倍であった. 抗体のサブクラスは蛍光抗体法でIgG2, 単球貪食能試験による貪食係数は0.005~0.015と低かった. 手術前に輸血した濃厚赤血球6単位中4...

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Hauptverfasser: 小安美佐子, 福島浩一, 伊丹直人, 大戸斉
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:46歳の乳がんの女性(A, CCDee, 不規則抗体, 直接抗グロブリンテストともに陰性, 妊娠歴3回, 輸血歴不明)に, 手術前に行った輸血により遅延性溶血性輸血副作用と思われる症例を経験した. 手術後(輸血後11日後)から血色素尿出現LDH, GOT, 総ビリルビン値の上昇が見られ, 一方ハプトグロビン値は著明に減少していた. 不規則抗体は25日後に抗Eが検出された. 抗体価は間接抗グロブリン法で1倍, 33日後8倍, 8ヵ月後512倍であった. 抗体のサブクラスは蛍光抗体法でIgG2, 単球貪食能試験による貪食係数は0.005~0.015と低かった. 手術前に輸血した濃厚赤血球6単位中4単位がE抗原陽性であった. 本例は幸いにも穏やかな経過をたどり, 1ヵ月後無事に退院した. 患者には今後見かけ上抗Eが消失した場合でも, 輸血必要時にはE抗原陰性の輸血を受けるように指導した.
ISSN:0546-1448