抗Chidoを有する患者に長期にわたり輸血を施行した1例

抗Chidoについては本邦では池田, 三浦らの数例の報告があり, 輸血副作用はないとされている. 今回我々は緊急輸血を要するpancytopeniaの症例に対し, 抗体不明のまま, やむを得ず輸血を施行し, その後抗Chidoと判明した症例を経験したので報告する. 症例は78才の男性, A型(R_1 R_1 ), 過去において輸血歴が有り, 貧血を主訴として通院, 当初aplastic anemiaと診断されていた. 交差試験ブロメリン法において交差不適となるため, 抗体同定精査を依頼された. 昭和61年12月当検査室に依頼された時点で既に抗E+cが同定され, そのうえ生食クームス, アルブミ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1990, Vol.36 (2), p.365-365
Hauptverfasser: 松原賢弘, 斉藤敏雄, 古谷実, 日高孝夫, 室川宏之, 河本泰彦, 田中益雄, 池内孝夫, 山崎俊幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:抗Chidoについては本邦では池田, 三浦らの数例の報告があり, 輸血副作用はないとされている. 今回我々は緊急輸血を要するpancytopeniaの症例に対し, 抗体不明のまま, やむを得ず輸血を施行し, その後抗Chidoと判明した症例を経験したので報告する. 症例は78才の男性, A型(R_1 R_1 ), 過去において輸血歴が有り, 貧血を主訴として通院, 当初aplastic anemiaと診断されていた. 交差試験ブロメリン法において交差不適となるため, 抗体同定精査を依頼された. 昭和61年12月当検査室に依頼された時点で既に抗E+cが同定され, そのうえ生食クームス, アルブミンクームス法で弱く反応する抗体を認めた. この抗体は3社のパネル赤血球にすべて反応し, R_1R_1 型のJr^a- , Di^b- , Yt^a- , Kn^a- , Vel^- , Gy^a- 及び-D-, O_m ^h 等の血球にも反応した. 自己対照, 直接クームス試験, 汎凝集反応は陰性であった. また, 白血球抗体も陰性であった. その後, G社のパネル血球(Ch^a- Rg^α+ )2種類に反応が陰性だったことにより, 抗Ch^a と同定された. この抗体はA型唾液, 人乳, 尿では中和されず, 人血漿で完全に中和され, C_4 d感作血球に強く反応した. また, 酵素血球での反応は減弱し, 最終的な抗体価は128倍であった. 昭和61年12月より平成1年7月まで, 長期にわたり血色素が5~6g/dl以下になった時点で輸血を施行してきた. この間, 交差適合血確保が困難なため, Ec適合Ch^a 不適合血で輸血を実施した. 輸血後の変化については特に注目し検討してきたが, 臨床的観察ならびに血清学的検査所見では, 輸血副作用は認められなかった. 抗Ch^a はHLA系と密接な関係にあり, 家系調査を含め限定的ではあるが, Ch^a-の頻度についても更に検討中である.
ISSN:0546-1448