自己血輸血:整形外科および口腔外科の患者における出血量と輸血量

自己血輸血療法が盛んになりつつある今日その標準化が急がれる. 本学では以前に「献血者における400ml採血」の基準作りに参加し低体重の若い女性からの採血を多数経験したが, その経験を生かし自己血輸血のための採血を早くから行ってきた. 今回それらの例のうち, とくに整形外科および口腔外科の患者における出血量と輸血量について整理し, 自己血輸血療法の基準設定に向けて検討したので報告する. 対象と方法:本学整形外科および口腔外科の患者を対象とした. 採血の基準は初め400ml献血者の採血基準に準じたが, 実際はこれらをかなり逸脱し, 患者の状態により採血の可否を判断した. 年令, 体重, 血圧, 不...

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Hauptverfasser: 野々口博史, 四方学, 尾上和夫, 小松文夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:自己血輸血療法が盛んになりつつある今日その標準化が急がれる. 本学では以前に「献血者における400ml採血」の基準作りに参加し低体重の若い女性からの採血を多数経験したが, その経験を生かし自己血輸血のための採血を早くから行ってきた. 今回それらの例のうち, とくに整形外科および口腔外科の患者における出血量と輸血量について整理し, 自己血輸血療法の基準設定に向けて検討したので報告する. 対象と方法:本学整形外科および口腔外科の患者を対象とした. 採血の基準は初め400ml献血者の採血基準に準じたが, 実際はこれらをかなり逸脱し, 患者の状態により採血の可否を判断した. 年令, 体重, 血圧, 不整脈・心疾患の有無, RBC, WBC, Hb, Platelet, Feその他をチェックし, 採血の一週間前から手術日まで鉄剤(1日100-200mg)を服用することにし, 採血前後の血液所見を検査した. 採血に際して輸液はしていない. 結果:これまで85例について実施した. 年令は原則として18-65才としたが実際は12-72才について行った. 最低体重は35kg. 採血量200-1200ml(平均774ml). 採血による事故はなかった. 献血者の400ml採血と比較してRBC・Hbの低下は緩やかで採血前からの鉄剤の服用が有益であった. 採血した血液は手術日に全量変換したが使用しなかった例もあった. 術中出血量は800ml未満が56%, 800-1200mlが23%, 1200-2000mlが7%, 2000ml以上が13%であった. 輸血量は, 2000mlまでの出血に対して自己血で間に合った. 他家血輸血は2200ml以上の出血例に行われ, その場合の平均出血量は2982mlで平均他家血輸血量は961mlであった. 結論:以上より1200ml以下の出血は自己血で間に合い2000mlまでの出血にも実際は他家血の必要性は少ない. 一回の採血量を減らし採血回数を多くすれば, 採血時に輸液を実施すれば適応患者の年令, 体重はさらに低くすることが可能と思われた.
ISSN:0546-1448