赤血球ルイス抗原の酵素的型変換について

赤血球のルイス式血液型抗原は, 血漿中のリポ蛋白分画に共存するルイス活性糖脂質が血球に吸着することによって発現することが知られているが, 他の臓器では, ルイス活性糖蛋白質の存在も認められている. ルイス抗原(Le^a 及びLe^b 抗原)の生合成については, α(1→4)フコシルトランスフェラーゼ(Le合成酵素)の作用による, Le^c 抗原→Le^a 抗原及びH抗原→Le^b 抗原の合成が証明されており, Le^a 抗原→Le^b 抗原の合成は, 最近, ヒト胃癌由来培養細胞のミクロゾーム分画に, その合成に関与するα(1→2)フコシルトランスフェラーゼが見出された. 今回, ルイス式血液...

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Hauptverfasser: 矢澤伸, 金谷一司, 平田一郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:赤血球のルイス式血液型抗原は, 血漿中のリポ蛋白分画に共存するルイス活性糖脂質が血球に吸着することによって発現することが知られているが, 他の臓器では, ルイス活性糖蛋白質の存在も認められている. ルイス抗原(Le^a 及びLe^b 抗原)の生合成については, α(1→4)フコシルトランスフェラーゼ(Le合成酵素)の作用による, Le^c 抗原→Le^a 抗原及びH抗原→Le^b 抗原の合成が証明されており, Le^a 抗原→Le^b 抗原の合成は, 最近, ヒト胃癌由来培養細胞のミクロゾーム分画に, その合成に関与するα(1→2)フコシルトランスフェラーゼが見出された. 今回, ルイス式血液型に関与する種々のフコシルトランスフェラーゼ及びGDP-fncoseを用いて, 血球のルイス型の酵素的変換について調べたので報告する. HEPES(pH7.0)緩衝液4μmol, MnCl_2 1 μmol, NaCl 10μmol, BSA 100mg及びGDP-fucose 60 nmolの存在下で, OLe(a-b-)型及びOLe(a+b-)型パパイン処理血球に種々の酵素標品を加えて, 37℃, 2時間インキュベートし, それぞれの血球のルイス活性を抗Le^a 及び抗Le^b モノクロナール抗体(CHEMBIOMED)で調べた. α(1→2)及びα(1→4)フコシルトランスフェラーゼを含むヒトOLe(a-b+)sec. 胃粘膜酵素標品はOLe(a-b-)型血球をLe(a+)及びLe(b+)型に容易に変換したが, α(1→4)フコシルトランスフェラーゼを含まないOLe(a-b-)sec. 胃粘膜では型変換は認められなかった. 又, α(1→2)フコシルトランスフェラーゼを含む上記2種の胃粘膜酵素標品及び精製血漿α(1→2)フコシルトランフェラーゼは, いずれもOLe(a+b-)型血球を抗Le^b に対して, それぞれ, 1:64, 1:512, 1:256の被凝集価を有するLe(b+)型に変換した. この変換血球を洗浄後, 抗Le^b 抗体を4℃, 1時間作用させた後, FITC-抗マウスIgM抗体(Tago)を4℃, 30分作用させてFlow cytometory(EPICS-C, Coulter Electronics)で測定したところ, Le(b+)活性が確認され, 赤血球のLe(a+)→Le(b+)の酵素的変換が証明された.
ISSN:0546-1448