ABO不適合腎移植における抗A, 抗B抗体価の推移と血液型転移酵素活性の検討

【目的】 従来, 腎移植はABO適合症例が原則であったが, 今回血漿交換ならびに免疫吸着カラム(Biosynsorb)処理により実施したABO不適合腎移植症例において, 抗体価の推移と血液型転移酵素活性を検討した. 【症例ならび方法】 B型ドナー, O型レシピエント2例と, B型ドナー, A型レシピエント2例を対象とした. 全例, 移植前7日に血漿交換, 移植前5日から移植当日までに3~4回, 免疫吸着操作を行った. 抗B抗体価は生食法, ブロメリン法, 間接クームス法の3法で測定した. また, 血液型転移酵素(A-enzyme, B-enzyme)活性測定には, ガルザーブを使用した. 【結...

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Hauptverfasser: 中林恭子, 七戸かずみ, 長谷川政幸, 田中宏枝, 高梨美乃子, 藤井寿一, 清水勝, 高橋公太, 太田和夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】 従来, 腎移植はABO適合症例が原則であったが, 今回血漿交換ならびに免疫吸着カラム(Biosynsorb)処理により実施したABO不適合腎移植症例において, 抗体価の推移と血液型転移酵素活性を検討した. 【症例ならび方法】 B型ドナー, O型レシピエント2例と, B型ドナー, A型レシピエント2例を対象とした. 全例, 移植前7日に血漿交換, 移植前5日から移植当日までに3~4回, 免疫吸着操作を行った. 抗B抗体価は生食法, ブロメリン法, 間接クームス法の3法で測定した. また, 血液型転移酵素(A-enzyme, B-enzyme)活性測定には, ガルザーブを使用した. 【結果】 血漿交換および免疫吸着操作前の抗B抗体価は3法で64倍~256倍であったが, 操作後の抗B抗体価では0倍~4倍と低下がみられた. 腎移植を行って2ヶ月以上経過したが, 抗体価は8倍までと依然低値を示した. また, 血液型転移酵素活性については, A型にB型を移植した1例に, B-enzyme活性が, 移植後2週間目より1倍~4倍と低値ではあるが認められた. 【結論】 ABO不適合腎移植を行う際に血漿交換や免疫吸着カラムを使用して, 抗Aや抗B抗体価を4倍以下に下げることにより全例重篤な合併症もなく生着し得た. また, 1例に認められたB-enzyme活性は移植腎よりのものと考えられ, 血清中の血液型転移酵素の由来を考える上で, 興味ある事と思われる.
ISSN:0546-1448