消化器外科手術における自己血輸血
〔目的〕我々は消化器癌手術例の同種血輸血を減少させる目的で貯血式自己血輸血(液状保存)と血液希釈性自己輸血とを併用した自己血輸血法を用いている. 〔方法〕a)70歳以下, b)Hb>10g/dl, Ht〉32%, c)TP>6.0g/dl, Alb>3.0g/dl, d)体重50Kg以上, e)全身状態に異常を認めない, 以上の条件を満たし1000ml以上の輸血が必要と予想される消化器外科手術を対象とし, 以下の方法で施行した. 1. 入院時400mlの採血を行ない液状保存とした. (貯血式自己血)2. その後3日以上の間隔を開け, 術当日入室時より500mlの乳酸加リンゲル...
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Zusammenfassung: | 〔目的〕我々は消化器癌手術例の同種血輸血を減少させる目的で貯血式自己血輸血(液状保存)と血液希釈性自己輸血とを併用した自己血輸血法を用いている. 〔方法〕a)70歳以下, b)Hb>10g/dl, Ht〉32%, c)TP>6.0g/dl, Alb>3.0g/dl, d)体重50Kg以上, e)全身状態に異常を認めない, 以上の条件を満たし1000ml以上の輸血が必要と予想される消化器外科手術を対象とし, 以下の方法で施行した. 1. 入院時400mlの採血を行ない液状保存とした. (貯血式自己血)2. その後3日以上の間隔を開け, 術当日入室時より500mlの乳酸加リンゲル液を静脈内投与し, 600mlを採血した後500mlの代用血漿(ヘスパンダー(R))を静脈内投与した. (希釈性自己血)3. 採取された自己血(計1000ml)は術中に適宜返血した. 4. 本法施行に伴い術前後の血中ヘモグロビン濃度(Hb)および凝固能の推移を測定した. 〔成績〕1989年5月より17例(胃全摘術4例, 胃亜全摘術3例, 低位前方切除術2例, 直腸切断術3例, 肝切除術2例, 膵頭十二指腸切除術1例, 低位前方切除術+肝切除術1例, その他1例)に本法を施行した. 全例中平均出血量は965mlであり同種血輸血を必要としたものは1200ml以上出血した2例のみであった. 同種血輸血を必要としなかった15例の平均出血量は857ml(最大2000ml)であり入院時の平均Hbは13.4g/dl, 手術前(貯血式自己血採血後)の平均Hbは12.2g/dl, 術後Hbの最低値の平均は10.0g/dlであった. 採血に要した時間は貯血式, 血液希釈性共に15分前後であった. 術中循環動態に大きな変動は認めず, また経過観察中に凝固能の低下および合併症の発生は認めなかった. 〔結論〕消化器外科手術は, 術前準備期間が短い, 術野に出血した血液が消化管内容や癌細胞により汚染されやすいなどの理由のため, 自己血輸血が行なわれることは稀であったが, 同種血輸血を減少させる方法として本法は簡便かつ有効であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |