Tn-polyagglutinationの1症例

目的:Tn-Polyagglutinationは1957年Daussetらによって発見され, 本邦ではこれまでに数例発表されている. 今回, 我々はABO式血液型検査の表・裏試験不一致により検出したTn-polyagglutinationを報告する . 症例:60歳男性, 既往歴特になし, 輸血歴なし, 昭和62年6月頃よりappetite loss, dizziness出現, 某病院にてlivercirrhosisの診断をうけ, 同年12月当院第一外科受診, 翌年1月5日, 手術のため入院. 同日, ABO式血液型検査に異常を認めたので精査した. 抗A(1+)mixed field, 抗B(...

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Hauptverfasser: 中野忠男, 棚町啓之, 菅原弘一, 伊東盛夫, 佐分利能生, 桑原亮彦, 友成洋子, 田口俊夫, 瀬尾たい子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:目的:Tn-Polyagglutinationは1957年Daussetらによって発見され, 本邦ではこれまでに数例発表されている. 今回, 我々はABO式血液型検査の表・裏試験不一致により検出したTn-polyagglutinationを報告する . 症例:60歳男性, 既往歴特になし, 輸血歴なし, 昭和62年6月頃よりappetite loss, dizziness出現, 某病院にてlivercirrhosisの診断をうけ, 同年12月当院第一外科受診, 翌年1月5日, 手術のため入院. 同日, ABO式血液型検査に異常を認めたので精査した. 抗A(1+)mixed field, 抗B(4+), 抗AB(4+), A_1 cell(4+), B cell(-), O cell(-), 直接抗グロプリン試験(-), 不規則抗体スクリーニング(一)とABO式血液型検査で表裏試験不一致を認めた. 血算においてWBC880/立方ミリメートル, RBC338x10^4 /立方ミリメートル, Hb10.7g/dl, Hct31.4%, Plt11.0×10^4 /立方ミリメートルで, その後の検査によりpancytopeniaと診断された. 患者血球と各種レクチンの反応は, Dolichos(×256), Ulex(×256), SSA, SHAについて陽性, PNAとGSIIについては陰性であった. また, 正常成人AB型血清との反応は30例全てに凝集を認め, 抗Aに対する反応はBromelinにより抑制された. さらに患者赤血球の糖タンパク質をSDS-PAGE(PAS染色)法にて解析した結果, PASI, IIIの顕著な減少が認められた. また, 患者血清中に抗Tの存在を認めたが, 抗Tnは検出されなかった. 結語:以上のことから, ABO式血液型の異常はTn-polyagglutinationによるものと判定した. また, Tn化赤血球膜において, 糖タンパク質由来のシアル酸の減少と, 赤血球の抗A及びDolichosとの反応は, ムチン型糖鎖のGalが切れGaINAcが露出していることを示唆している. 尚, 手術に際しては, B型洗浄赤血球及びアルブミン製剤を用いることで, なんら異常を認めなかった.
ISSN:0546-1448