保存赤血球に対する解糖阻害剤の作用
I緒言 微量のシュウ酸(OXL)が保存赤血球中の2, 3-diphosphoglycerate(DPG)維持作用をもつことが知られており, この原因としてOXLのPyruvate kinase(PK), Lactate dehydrogenase(LDH)に対する阻害作用が考えられている. そこで, このメカニズムを明かにするため, OXLの他に解糖阻害剤としてフッ化ナトリウム(NaF)モノヨード酢酸(MIA)を用い, これらの阻害部位を決定するとともに, 赤血球保存実験を行い, DPG, ATP及ひ各糖代謝中間体の変動を調べたので報告する. II方法 CPD加ヒト新鮮血より調整した濃縮赤血球...
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Zusammenfassung: | I緒言 微量のシュウ酸(OXL)が保存赤血球中の2, 3-diphosphoglycerate(DPG)維持作用をもつことが知られており, この原因としてOXLのPyruvate kinase(PK), Lactate dehydrogenase(LDH)に対する阻害作用が考えられている. そこで, このメカニズムを明かにするため, OXLの他に解糖阻害剤としてフッ化ナトリウム(NaF)モノヨード酢酸(MIA)を用い, これらの阻害部位を決定するとともに, 赤血球保存実験を行い, DPG, ATP及ひ各糖代謝中間体の変動を調べたので報告する. II方法 CPD加ヒト新鮮血より調整した濃縮赤血球液(Ht:90%以上)2容にA, B, C, Dの各保存液1容添加後, ミニチャンバーを用いて4Cまたは室温で静置保存した. 糖代謝中間体は酵素法を用いて測定した. A液:Hogman処方SAGM液 B夜:A液+OXL(3mM) C液:A液+NaF(3mM) D液:A液+MIA(3mM) III結果 DPG維持作用に対するOXLの濃度依存性を調べたところ, 血液中数10μMより効果が現れた. OXL, NaF, MIAの阻害部位は, OXLではPK(Ki=0. 18mM), LDH(Ki=0.17mM), NaFではMonophoglycerate mutase(MPGM:Ki=1. 1mM), Enolase(EN:Ki=1.2mM), MIAではGlyceraldehyde dehydrogenase(Ki=44μM), Phoshoglycerate kinae(Ki=12μM)であった. 赤血球保存実験の結果, BとC液で, DPGは維持され, ATPは低下した. A液では, ATPは維持され, DPGは低下した. D液ではDPG, ATPとも低下した. 糖代謝中間体では, BとC液でDPG前後の中間体は増加し, Pyruvate(PYR)は減少した. AとD液ではPVRが増加した. IV結論 NaFよりMPGM, EN反応を阻害した場合においても, OXLとほぼ同様な糖代謝の変動を示し, DPG維持作用がみられた. このことから, DPGからLactate(LAC)に至る反応が阻害された場合, DPGは維持されるが, この時同時にATpは減少することがわかった. |
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ISSN: | 0546-1448 |