血小板輸血による同種抗体産生抑制の試み

[目的]頻回の血小板輸血は同種抗体を産生させ, その効果を無効にすることがある. すでに, 紫外線透過バッグを用い, 濃厚血小板製剤に対する紫外線照射の影響が検討され同種抗体産生抑制にとって有用な結果が報告されている. われわれは, 紫外線を透過しないと考えられている塩化ビニル(PVC)製バッグを用いても充分同種抗体産生抑制効果が期待できる結果を得ている. 今回, 紫外線透過バッグ(EVA製)とPVCバッグに採取した濃厚血小板製剤への紫外線照射の影響を比較検討し結果を得たので報告する. [材料と方法]濃厚血小板(PC)40mlを二等分しそれぞれ, PVCバッグもしくはEVAバッグ中に移す. 一...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1989, Vol.35 (2), p.302-302
Hauptverfasser: 田中賢一, 佐治博夫, 松浦尚雄, 細井武光
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]頻回の血小板輸血は同種抗体を産生させ, その効果を無効にすることがある. すでに, 紫外線透過バッグを用い, 濃厚血小板製剤に対する紫外線照射の影響が検討され同種抗体産生抑制にとって有用な結果が報告されている. われわれは, 紫外線を透過しないと考えられている塩化ビニル(PVC)製バッグを用いても充分同種抗体産生抑制効果が期待できる結果を得ている. 今回, 紫外線透過バッグ(EVA製)とPVCバッグに採取した濃厚血小板製剤への紫外線照射の影響を比較検討し結果を得たので報告する. [材料と方法]濃厚血小板(PC)40mlを二等分しそれぞれ, PVCバッグもしくはEVAバッグ中に移す. 一方は紫外線照射後, 他方は紫外線を照射せずに22℃にて保存する. 一夜保存後, PCよりフィコールパックを用いてリンパ球画分を分離し, MLRに供した. 血小板機能は, pH, 変形能, 凝集能を保存72時間後まで測定した. 紫外線の線源として短波長(254nm)と長波長(310nm)を使用した. [結果](1)EVAバッグは短波長, 長波長の紫外線をよく透過させた. PVCバッグは長波長の紫外線のみ透過させ, 300nm以下の短波長紫外線は全く透過させなかった. (2)短波長, 長波長の紫外線照射によりMLRは強く阻害され, stimulatorとしての活性ばかりでなくresponderとしての活性も阻害された. (3)血小板は短波長の紫外線照射により活性化を受け, 凝集した. 長波長の紫外線照射でも300nm以下の波長では血小板は一部活性化された. (4)紫外線照射PCの保存後機能はPVCバッグの方がEVAバッグより優れていた. [結論]現行のPVCバッグを用い, 長波長の紫外線を照射することにより, 血小板機能を損なうことなく, 同種抗体産生の抑制が期待できると考えられる. 一方, EVAバッグでは血小板が強く活性化されるため, 実用化は困難と思われる.
ISSN:0546-1448