LAK投与患者の末梢血の変動
【目的】悪性腫瘍の治療法のひとつにLAK細胞を用いた養子免疫療法があり, 表面マーカーの解析がすでに行われている. 今回我々は, LAK細胞の投与が患者末梢血にどのような影響を及ぼすのかリンパ球表面マーカーから検討したので報告する. 【症例および方法】症例は41歳の大腸癌の肺および肝臓に転移が見られたstageVの患者である. LAK細胞の誘導は1988年6月より1989年1月まで10回行い, そのうち6回は患者自身, 残りの4回はHLA一致の同胞の単核球より行った. LAK細胞の投与は肝動注および末梢静脈より総個数2.3×10^11 個を延べ20回で分割投与した. リンパ球表面マーカーは患者...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1989, Vol.35 (2), p.285-285 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】悪性腫瘍の治療法のひとつにLAK細胞を用いた養子免疫療法があり, 表面マーカーの解析がすでに行われている. 今回我々は, LAK細胞の投与が患者末梢血にどのような影響を及ぼすのかリンパ球表面マーカーから検討したので報告する. 【症例および方法】症例は41歳の大腸癌の肺および肝臓に転移が見られたstageVの患者である. LAK細胞の誘導は1988年6月より1989年1月まで10回行い, そのうち6回は患者自身, 残りの4回はHLA一致の同胞の単核球より行った. LAK細胞の投与は肝動注および末梢静脈より総個数2.3×10^11 個を延べ20回で分割投与した. リンパ球表面マーカーは患者末梢血をEDTA採血し, Ficoll-conrayで単核球を分離後FACStarでCD2, CD3, CD4, CD8, CD11, CD16, CD19, CD25, HLA-DR, Leu-7, Leu-18, Leu-19の各種モノクローナル抗体を用いてtwo color解析を行った. LAK細胞の投与1~7回目は投与前と投与24時間後, 8~10回目は投与1時間後も測定した. また9, 10回目は投与前後の血算および血液像の検査も行った. 【結果】リンパ球表面マーカーの陽性率と血液像のリンパ球比率からCD3+, CD4+, CD8+細胞数を表面マーカー別に算出すると, 投与1時間後ではこれらの陽性細胞数は全て減少した. 特にCD8+細胞が著明であったが(4/8は4~5倍に増加), 投与24時間後では全て増加していた. またLeu-19+, Leu-7+, Leu-11c+細胞の陽性率もCD8+細胞と同様な傾向を示した. 血算よりLAK細胞の投与1時間後の総白血球数は単球, 好酸球を含め減少していたが, 投与24時間後では増加していた. 血液像からリンパ球の比率が著しく減少した場合と, 好中球と共に相対的に減少した場合があり一貫性がなかった. また赤血球数, 血小板数は投与前後で変化はなかった. リンパ球表面マーカーの陽性率はLAK細胞の投与個数, killer活性との間に有意な関連はなかった. またLAK細胞は末梢血で投与1時間後でも確認できなかった. 【結論】LAk細胞の大量投与により白血球減少がみられ, 特にCD8+, Leu-19+, Leu-7+, Leu-11c+細胞の減少が著明であったが, 投与24時間後では回復していた. またLAK細胞が投与1時間後でも末梢血中に確認できなかったことから, 白血球はLAK細胞と共に網内系などへの捕捉が考えられた. さらにCD8+細胞などの減少が, 生体に与える影響やLAk細胞の投与に特異的なものかどうかは不明である. |
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ISSN: | 0546-1448 |