自己輸血におけるMSBOSの応用

I. 目的:主として輸血後感染症の防止と同種免疫の発現の抑制を目的とした自己血輸血が広く行われるようになった. 本院に於いても比較的使用輸血単位数の少ない手術例に対して行われており, その実情について先の本学会に於いて報告した同一術式のMSBOSと比較し, その評価を行ったので報告する. II. 対象及び方法:対象は予定された外科的手術, 主として整形外科患者で血液疾患, 感染症のない, いわゆる血液一般検査が正常範囲以内で12歳から70歳までの男女14名である. その内訳は腫瘍切除術4例, 脊椎固定術3例, 人工骨置換術4例, そして椎弓切除術3例である. また, 自己血輸血の方法は一例のl...

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Hauptverfasser: 志田光正, 並木浩信, 宮澤浩子, 川平宏, 星野茂角, 阿部まを, 石野たい子, 神田靖男, 八田善弘, 伊藤武善, 馬場真澄, 水貝直人
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:I. 目的:主として輸血後感染症の防止と同種免疫の発現の抑制を目的とした自己血輸血が広く行われるようになった. 本院に於いても比較的使用輸血単位数の少ない手術例に対して行われており, その実情について先の本学会に於いて報告した同一術式のMSBOSと比較し, その評価を行ったので報告する. II. 対象及び方法:対象は予定された外科的手術, 主として整形外科患者で血液疾患, 感染症のない, いわゆる血液一般検査が正常範囲以内で12歳から70歳までの男女14名である. その内訳は腫瘍切除術4例, 脊椎固定術3例, 人工骨置換術4例, そして椎弓切除術3例である. また, 自己血輸血の方法は一例のleapfrogging法を除き一般液状保存とした. III. 成績:腫瘍切除術では平均貯血量が700ml, また平均出血量が980mlであった. 同様に脊椎固定術では600mlと1164ml, 人工骨置換術では500mlと398ml, 椎弓切除術では350mlと548mlであった. 同一術式でのMSBOS値では腫瘍切除術が3-5単位, 脊椎固定術が3-5単位, 人工骨置換が3-5単位, 椎弓切除術1-2単位であった. なお, 腫瘍切除術, 脊椎切除術では自己血に加え, それぞれ200mlと800mlの同種血液が輸血された. IV. 結語:整形外科患者を対象とした液状貯血法による自己血輸血の実施で以下の結論を得た. 1)腫瘍切除術, 脊椎固定術, 椎弓切除術の平均貯血量はMSBOS値の範囲にあるものの人工骨置換術では実際の出血量以上の貯血量を確保し, MSBOS値よりかなり少ない出血量であった. 2)液状貯血した14例中2例は血液を使用せず, さらに全体的に対象例は少ないものの脊椎固定術を除き, 何れの術式にも出血量が400ml以下の例で貯血した1-2単位のすべてを輸血した. 3)自己血輸血患者では同種血輸血患者に比較し, 輸血血液の必要量が全体的に少なかった.
ISSN:0546-1448