各種自己免疫疾患における末梢血単核球の抗体産生能についての検討

I. 目的:我々は反転溶血プラーク法を用いて全身性自己免疫疾患の代表である全身エリテマトーデス(SLE)患者および臓器特異的自己免疫疾患の代表である自己免疫性甲状腺疾患患者において, 末梢血中単核球の抗体産生能を比較検討したので報告する. II. 方法:対象としてSLE患者16名, 未治療バセドウ病患者7名, 治療後バセドウ病患者12名, 橋本病患者9名, 健常対照群14名を選んだ. 患者末梢血よりヘパリン採血し比重遠心法にて単核球を得, 1×10^6 ずつ96穴マイクロプレートに分注後, 0.01%Staphylococcus aureus Cowan 1(SAC)存在あるいは非存在下に5日...

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Hauptverfasser: 是木一也, 坂本久浩, 江藤澄哉, 鈴木秀郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:I. 目的:我々は反転溶血プラーク法を用いて全身性自己免疫疾患の代表である全身エリテマトーデス(SLE)患者および臓器特異的自己免疫疾患の代表である自己免疫性甲状腺疾患患者において, 末梢血中単核球の抗体産生能を比較検討したので報告する. II. 方法:対象としてSLE患者16名, 未治療バセドウ病患者7名, 治療後バセドウ病患者12名, 橋本病患者9名, 健常対照群14名を選んだ. 患者末梢血よりヘパリン採血し比重遠心法にて単核球を得, 1×10^6 ずつ96穴マイクロプレートに分注後, 0.01%Staphylococcus aureus Cowan 1(SAC)存在あるいは非存在下に5日間培養, 6日目に単核球を回収し, アガロースおよびCrCl_3 を用いてProtein Aを結合した羊赤血球と混合してスライドグラスに広げ, 抗ヒトIgG抗体, モルモット血清(補体)を作用させ, 生じた溶血斑数を計数し抗体産生細胞数とした. III. 成績:健常対照群では無刺激状態では抗体産生細胞を認めないのに対し, SLE患者では無刺激状態において既に多数の抗体産生細胞を認めた. 一方SAC刺激下では健常対照群では抗体産生細胞数が著増するのに比し, SLE患者では逆に減少した. 自己免疫性甲状腺疾患患者では無刺激状態では抗体産生細胞をほとんど認めなかった. SAC刺激により自己免疫性甲状腺疾患患者で抗体産生を認めたが, その反応性は健常対照群に比し, 治療後バセドウ病患者群では有意差を認めなかったのに対し, 未治療バセドウ病患者群および橋本病患者群では有意に低下していた. IV. 結論:SACは静止期B細胞を刺激し抗体産生細胞に誘導するとされるため, SAC刺激に対する反応性の低下はB細胞が一部活性化されている事を示唆する. 以上より各種自己免疫疾患においては末梢血中B細胞の一部がすでに活性化されているが, 抗体産生細胞に至るどの段階まで成熟しているかは同じ自己免疫疾患にても異なる事が示唆された.
ISSN:0546-1448