抗Le^a 抗体による遅発型溶血性輸血副作用の1例
I. 序言 遅発型溶血性輸血副作用(delayed hemolytic transfusion reaction, DHTR)は受血者が持っていない血液型抗原に以前に輸血あるいは妊娠により感作されており, 再度, その血液型をもつ血液の輸血を受けた際に免疫の二次応答により急速に産生された抗体のために輸血された血液が破壊され血管内あるいは血管外溶血を起こす副作用である. 1957年Fudenbergらは抗Eと抗kによる2例のDHTR例を初めて報告1)している. その報告以来, 多数のDHTRの報告2)を認める. DHTRを引き起こし易い血液型抗原としてはRh系やKidd系が多いとされている2)が...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1988, Vol.34 (3), p.340-343 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | I. 序言 遅発型溶血性輸血副作用(delayed hemolytic transfusion reaction, DHTR)は受血者が持っていない血液型抗原に以前に輸血あるいは妊娠により感作されており, 再度, その血液型をもつ血液の輸血を受けた際に免疫の二次応答により急速に産生された抗体のために輸血された血液が破壊され血管内あるいは血管外溶血を起こす副作用である. 1957年Fudenbergらは抗Eと抗kによる2例のDHTR例を初めて報告1)している. その報告以来, 多数のDHTRの報告2)を認める. DHTRを引き起こし易い血液型抗原としてはRh系やKidd系が多いとされている2)が, 我々は今回, 抗Lea抗体による非常に稀なDHTRの1例を経験したので報告する. II. 症例 症例は44歳の女性. 主訴はコカコーラ様の尿, 家族歴は特記すべき事なし. 既往歴では6歳で腎疾患, 12歳で麻疹に罹患. 2児を出産しているが, 特に新生児溶血性黄疸などのエピソードはない. 現病歴は, 昭和26年に心臓弁膜症を指摘されたが自覚症状が無いためそのまま放置. その後, 結婚, 出産しているが, その頃より疲れ易い等の症状が出現. 昭和40年に某病院で僧帽弁の切開術を受ける. 昭和54年に上記症状が再発. 昭和56年には当院第1外科にて再手術. 昭和62年2月6日に第1外科に再入院. 10日に僧帽弁及び大動脈弁の置換術を受ける. その際に新鮮血7単位および濃厚赤血球2単位の輸血を受ける. 術後10日目の2月20日昼頃よりコカコーラ様の尿の出現と著明な全身倦怠感を自覚. 2月21日には貧血が進行したため400ml由来の濃厚赤血球, 2単位の輸血を施行される. 2月24日に輸血副作用の疑いで輸血部の方に連絡あり. |
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ISSN: | 0546-1448 |