HLA適合血小板輸血の臨床的検討
【目的】抗血小板同種抗体の出現により血小板輸血無効状態となった血液疾患患者に, 従来family donorからの院内採血によるHLA適合血小板輸血を施行してきた. 一方, 昭和61年10月より京都府赤十字血液センターからHLA適合血小板の供給が開始された. 今回, これらのHLA適合血小板輸血の臨床効果と問題点を検討した. 【方法】血小板輸血の効果は1時間後および翌日の血小板回収率(血小板増加数, 循環血液量, 輸注血小板総数より算定)で判定した. 血小板交差適合試験としてリンパ球細胞毒試験, 抗ヒトグロブリンL鎖血清加リンパ球細胞毒試験をあわせて行った. 【結果】血液センターより再生不良性...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1988, Vol.34 (2), p.279-279 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】抗血小板同種抗体の出現により血小板輸血無効状態となった血液疾患患者に, 従来family donorからの院内採血によるHLA適合血小板輸血を施行してきた. 一方, 昭和61年10月より京都府赤十字血液センターからHLA適合血小板の供給が開始された. 今回, これらのHLA適合血小板輸血の臨床効果と問題点を検討した. 【方法】血小板輸血の効果は1時間後および翌日の血小板回収率(血小板増加数, 循環血液量, 輸注血小板総数より算定)で判定した. 血小板交差適合試験としてリンパ球細胞毒試験, 抗ヒトグロブリンL鎖血清加リンパ球細胞毒試験をあわせて行った. 【結果】血液センターより再生不良性貧血4例と急性骨髄性白血病4例の患者に対して昭和61年10月より昭和62年12月の間に, 計142回のHLA適合血小板の供給をうけた. 同期間にその内の3例の患者のfamily donor4名より, 院内採血にて計192回のHLA適合血小板輸血を施行した. これらの334回のHLA適合血小板輸血のうち, 1時間後の血小板回収率が20%以下を示したのは3例にて計27回, 翌日の血小板回収率が10%以下を示したのは5例にて計46回みられた. この原因として, 2例では抗血小板特異抗体の存在, 1例ではDICの併発が考えられ, 他の2例については検索中である. 低い血小板回収率を示した場合でも, いずれも一時的ではあるが止血効果はみられ. 院内採血を併用した3例の血小板回収率は, 血液センターよりのHLA適合血小板の場合と差はみられなかった. 今回の8症例のうち抗血小板特異抗体陽性AMLの1例のみが死亡しており, 死因は出血であった. 【結論】今後, 血液センターのdonor poolの拡大, 抗血小板特異抗体の解明がまたれる. 当面はHLA適合family donorよりの院内採血と血液センターのHLA適合血小板輸血システムの併用が実際的と思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |