再生不良性貧血における血小板輸血の適応について

I目的:再生不良性貧血(再不貧)患者に対する血小板輸血の適応の目安を作る. II方法:京大病院で経過観察された再不貧症例のうち血小板数算定値をほぼ信頼出来るようになった昭和44年以降の例で血小板数がしばしば2万/μl以下に減少したものを対象とした. 経過表を作成して血小板数が比較的低値を持続し, また重篤な出血のみられなかった例では血小板敷に影響を与える輸血をうけなかった期間を観察期間とした. III成績:1. 重篤な出血を起こさなかった例. (a)副腎皮質ホルモン(C. S. )の投与を受けた例. 28例全例の観察期間中の血小板数中央値は2万/μlまたはそれ以下であり, 4例では5千~1万で...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1988, Vol.34 (2), p.276-276
Hauptverfasser: 山岸司久, 吉田弥太郎, 内野治人, 伊藤和彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I目的:再生不良性貧血(再不貧)患者に対する血小板輸血の適応の目安を作る. II方法:京大病院で経過観察された再不貧症例のうち血小板数算定値をほぼ信頼出来るようになった昭和44年以降の例で血小板数がしばしば2万/μl以下に減少したものを対象とした. 経過表を作成して血小板数が比較的低値を持続し, また重篤な出血のみられなかった例では血小板敷に影響を与える輸血をうけなかった期間を観察期間とした. III成績:1. 重篤な出血を起こさなかった例. (a)副腎皮質ホルモン(C. S. )の投与を受けた例. 28例全例の観察期間中の血小板数中央値は2万/μlまたはそれ以下であり, 4例では5千~1万であった. また4分の1の例で少数回5千以下に低下した. (b)C. S. の非投与例. 10例中2例で中央値が1万以下で, まれに5千以下になった. 2. 重篤な出血を起こした例. 7例中4例では中央値が1万以下であった. 重篤な出血を起こす直前の血小板数は4例で5千またはそれ以下であったが3例では1万以上であった. 7例全例で歯眼出血, 鼻出血, 多数の紫斑(特に上半身の)がしばしばみられた. IV結論:再不貧で血小板輸血をすべき血小板数の閾値は決められないがおおよその目安として次のことが云えると考えられた. 1. 血小板数が常に1万以上あって出血傾向の軽い例は血小板輸血の必要はない. 2. 血小板数が時々1万以下に, またまれに5千以下になっても何回か血小板数を算定してその中央値が1万以上であり出血傾向の少ない例では血小板輸血の必要性はかなり少ない. 3. 中央値が1万以下でも出血傾向が少ない慢性症例では多分血小板輸血なしで大丈夫であろう. 4. 血小板数の中央値が1万以下であれば勿論, 1万以上であっても出血傾向が強い例では血小板輸血が必要である. すなわち血小板輸血の必要性の判断は血小板数のみでなく臨床的出血傾向をも考慮に入れる必要がある.
ISSN:0546-1448